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インタビュー2025年8月26日

【速報版】トップインタビュー 東洋テック ナショナル・イベントの万博警備で存在感 池田博之代表取締役社長

東洋テック(9686・S)は機械警備や施設警備への参入を狙い、旧福徳相互銀行(現りそな銀行・関西みらい銀行)が1966年1月に設立。上場警備会社7社のうち唯一、関西を地盤に事業を展開している。日ごとに人気の高まる大阪・関西万博では、JV(共同企業体)の幹事会社として会場およびゲートの警備全般を仕切るなどナショナル・イベントで存在感を高める。万博による足元業績の押し上げ効果や中長期の成長戦略について池田博之代表取締役社長(写真)に話を聞いた。

――万博真っ盛りで多忙を極めているのでは?

「博覧会協会発注の万博警備のうち、会場警備とゲート警備は当社を幹事会社とする共同企業体が受注した。延べ警備員数は約24万5,000人であり、博覧会協会が発注する会場内警備のうち、実に70%を当社が幹事会社を務める共同企業体が占めている。また博覧会協会発注の警備とは別に、国内・海外パビリオンや夢洲駅をはじめとする大阪メトロ主要駅、万博会場内循環バス各停車場などで延べ約4万5,000人の警備を受注しており、博覧会協会発注の警備とトータルすると延べ約29万人の警備員を動員しなければならない。人手の確保には、管理部門や営業部門なども含め一家総出でこれにあたっているとともに、100社近い協力会社から警備員を拠出してもらい対応している」

――4月に策定した中期経営計画のポイントを教えてほしい。

「新中計では『筋肉質な企業体質への転換』をスローガンに掲げた。万博関連の今期業績への寄与は売上高で70億~80億円に及び、過去最高を更新する見通しだ。来期は万博効果が剥落するわけだが、価格改定やコストコントロールの推進、あるいは積極的なM&Aや新規事業への進出により落ち込みを最小限に抑えたい」

「人手の足りない部分はAIやDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用して効率化を図っている。例えば、オフィスなどの警備現場では夜間に警備員を常駐させず、機械警備を導入して、いざという時に警備員が対応する。また、屋外には防犯カメラを設置し、その映像をAIで解析している。中古車販売店などに侵入があった場合、まずはAIが侵入者を検知し、オペレーターが不審者と判断すれば音声で威嚇、その後すぐに警備員が駆けつける仕組みだ。当初は誤作動も多かったが、改良が進み精度も向上している」

M&A推進で警備事業を強化

――M&Aも積極的に手掛けているようだ。

「日本には警備会社が1万社強もある。後継者不足といった課題は警備業界にもあって、M&A業者をはじめ証券会社、銀行からお話をいただいて検討している」

「我々は地盤である関西では人員や待機所網が整備できているので、機械警備を手掛けている企業なら地域性の面でシナジーを得ることが可能だ。一方、常駐警備ということであればエリアの制限はなく、東京をはじめ全国どこでも対応していきたい。今、注力しているのはビル1棟をまるごと引き受ける案件。主力の警備をはじめエレベーターの点検や清掃など日常業務、大規模修繕に至るビル管理を一括で引き受けることでオーナーの負担を軽減できる」

――株価を意識した経営を推進中とのことだが。

「成長戦略の実行、株主還元と資本政策の推進、IR(投資家向け広報)強化に注力しつつ、収益性の向上に取り組んでいるところだ。バリュエーションの割安が喫緊の課題ではあるが、将来にわたって安定的な収益体制を確立することで評価を高めていく。今中計期間のうちにPBR1倍台、株価2,000円乗せを実現させるべく努力している」

――最後に個人投資家へのメッセージをお願いします。

「銀行が設立した警備会社ということで、現在も40行以上の金融機関とお取引があるなど確固たる基盤を持っている。また、警備や清掃業務はいずれもストックビジネスなので、コロナ禍などの影響を受けづらいといった特徴もある。足元の14期連続増収という実績を含め、安定的に成長できる企業として注目いただければありがたい」(NA)

※速報版は最終的な校了前の紙面記事です。今後、修正等が入る場合があります。

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