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インタビュー2025年8月21日

【速報版】トップインタビュー ZenmuTech 阿部泰久代表取締役社長

データあるところにZENMUあり

ZenmuTech(338A・G)は独自の秘密分散技術による「守らないセキュリティ」が注目され、3月27日のIPO(新規上場)からあっという間に株価1万円の大台を突破。勢いそのままに駆け上がり、6月18日には1万6,670円の高値に到達した。直近では今12月期第2四半期(1~6月)業績予想の下方修正を受けて一時8,000円台に落ち込んだが、早々に切り返し、足元は再び株価1万円をうかがう展開。6月に就任した阿部泰久社長(写真)に話を聞いた。

――IPOから今日までを振り返って。
上場したことによって会社としての信用度や認知度がだいぶ変わってきた。これまではわれわれの方から色々提案していくケースが多かったが、IPO後はインバウンド的な案件も複数出てきている。「こんな技術が欲しかった、ようやく見つかった」など、うれしいお声を頂いている。

――6月に創業者である田口善一前社長が逝去された。田口氏の遺志を継ぐという点で、特に大事にしていきたいことがあれば教えてほしい。
田口が持っていた粘り強さやパッション。スタートアップとしてのマインドセットを持って、もっと前に出ていかなければならない。また、「ZENMU入ってる」の世界観の実現が今後の成長の肝になる。かの有名な「インテル入ってる」のキャッチコピーになぞらえたものだが、ZENMUが入っていくのはデータがあるところ。今はPCだけでなく、社会のいろんなところにデータが点在しており、そこにわれわれが組み込まれていることが一番目指すところだ。これを早期に実現するために、もう少し仕組み的なものやプロセスを整理していく必要がある。

――中間期の業績予想を下方修正した。
既に一部導入いただいているお客さまで、その追加案件を2Q(4~6月)に見込んでいた。しかし、われわれが想定していた以上の導入範囲に広がったことで検討時間と導入に向けた事前準備が必要となり、4Qにずれ込んだことが主な理由。単なる期ズレではなく、規模の拡大によって発生したズレであり、通期予想は変更していない。IPO効果もあって、年末に向けては計画策定時点で織り込んでいなかった新規案件も複数見込まれている状況。計画の達成には非常に自信がある。

――新サービスの動向はどうか。
VDI(仮想デスクトップ)ユーザーをターゲットとした秘密分散データ保護の新製品「ZLE」を2月にリリースした。当初はVDI利用の課題やリスクに焦点を当てた提案をしていたが、顧客がより導入しやすいよう、利便性を訴求したポジティブなアプローチに切り替えた。おかげで興味を示す方が増えてきている。

――自治体案件も増えていると聞く。今後の導入拡大が期待できそうだ。
静岡県三島市のテレワーク業務用端末の導入事例を公表した。自治体案件はこれまでもいくつかあったが、公開事例としては三島市が初だった。これを契機に問い合わせや案件が増えており、もともとあった流れがさらに加速したように思える。市場への認知度という観点で非常にインパクトが大きかった。

――エンジン(要素技術)の適用領域でドローンを成長分野の1つに位置付けている。4月の実証試験でも成果を発表しているが、今後の成長ポテンシャルについてどう捉えているか。
産業用ドローンの利活用の広がりに伴い、ドローン内データの秘匿性が高まっている。ドローンの中に入ってくるのはインフラに近い、安全面にかかわるデータであり、その一つ一つを従来型のセキュリティで守ることは難しい。4月の実証では、秘密分散ソリューションを組み込むことでデータを瞬時に無意味化し、飛行中や予期せぬ落下時の情報漏洩リスクを解消することが証明できた。ドローンの普及はさらに加速し、その時に欠かせない技術として“秘密分散”がもっと活用されていくだろう。

――最後に投資家の皆さまへ一言。
「守らないセキュリティ」の技術の適用領域は限りない。しかもこれは日本だけの話ではなく、世界中のどの国も同じ課題を持っている。使い方や市場はボーダレスだと考えている。われわれが最終的に狙うのは世界市場、中でも米国は絶対に行かなければならない市場であり、着々と準備を進めている。そんなところもぜひご期待いただきたい。

※速報版は最終的な校了前の紙面記事です。今後、修正等が入る場合があります。