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インタビュー2021年12月9日

トップインタビュー サイバーセキュリティクラウド・小池敏弘社長

WAFのパイオニアで世界に躍進

コロナ禍でリモートワークやEC(電子商取引)などDX(デジタルトランスフォーメーション)が一気に進んだ一方、サイバー攻撃も急増し、社会問題となっている。セキュリティ対策が急務の中、業績が急拡大しているのがサイバーセキュリティクラウド(4493・東マ)。企業サイトを攻撃から守るクラウド型WAF(ウェブ・アプリケーション・ファイアウォール)で国内シェアトップの「攻撃遮断くん」を手掛け、今12月期は売上高、利益とも50%以上の成長を見込む。小池敏弘代表取締役社長に話を聞いた。

――日本企業のセキュリティ意識はどうか。
全体的に意識が低いところはあるが、サイバー攻撃対策を必要と考える企業は増えている。9月にデジタル庁ができ、来年4月に改正個人情報保護法が全面施行されるなど、政府を含めて流れは変わってきている。当社でも、国やアカデミックとうまく連携しながら、啓発、働きかけをしていく。

――御社の特長は。
WAFという、企業のウェブサイト、ウェブサービスをハッカーの攻撃から守る防御壁となるサービスを提供している。セキュリティ製品は国産メーカーが少ない。国産のクラウド型WAFの領域では当社はパイオニア的存在。使命感を持って今後も拡販していく。

――競合と比較した強みは。
自社開発・自社運用なので24時間365日日本語で即日対応できる。海外製品は現地法人や販売代理店を通じた対応のため、時間がかかる場合がある。導入後のサポートまで含めてセキュリティサービスだと思っており、品質にも自信を持っている。また、クラウド型WAFでは日本で一番導入数が多いため、導入実績も豊富にあり、ノウハウが蓄積されている。

――今期の業績は好調だ。
セキュリティのマーケット自体が広がっているので、しっかり営業をすれば伸びていく。解約率が月次で1%程度と非常に低く、一度導入していただいたら満足して使い続けてもらえる。その結果が決算に現れている。中堅企業のセキュリティ意識が変わってきているので、今後も多くの企業に導入いただけるよう注力できればと思っている。当社にとって大きなマーケットがあると期待している。

――2025年に売上高50億円、営業利益10億円を目指す成長戦略も策定した。
市場が伸びる中、当社の中長期での目標を、明確なメッセージとして打ち出すことで、しっかりと戦略を実行していくフェーズに移った。当社のポテンシャルからしたときに達成不可能な目標ではないし、さらに大きくなるための通過点にしていきたい。

――どのように実行していくのか。
国内は着実に認知度を上げて、PRしていく。製品自体はナンバーワンと自信をもっており、あとは知って使ってもらう。これを、全国に販売パートナー網を広げ、実現していく。海外はアマゾンのAWS、マイクロソフトのAzure、グーグルクラウドといったクラウドプラットフォーム向けの製品「WafCharm」がある。米国でも似たようなサービスはなく、AWSからも「早くグローバルに出てほしい」と強く言われている。米国でトライアルをしており、「コストダウンと効率化が図れて良い」と高い評価をいただき、来年以降どんどん普及すると期待している。25年に海外売上高比率10%を計画しており、まずは来年が勝負。

――社長に就任された経緯は。
私自身は中小企業のM&Aのプラットフォームを提供する会社の創業、譲渡を経験。事業企画、プラットフォームの開発、海外での経営経験がある。当社は20年に上場し、「次の成長を引っ張ってほしい」との話をいただいたので、了承して代表を務めることになった。

――個人投資家へのメッセージを。
日本経済、企業にとって有益、必要なものを提供しており、この分野のパイオニアとしてずっとやってきた。長期的に継続して成長していくと考えているのでご支援いただきたい。