フィデリティ投信は、フィデリティ・インターナショナルがイギリスのナショナル・イノベーション・センター・フォー・エイジング(NICA)と共同で調査し作成した、新レポート「長寿革命:新しい現実への備え」を発表した。同レポートは、世界13カ国・地域にわたるグローバル調査と、50歳以上の1万1,800人超を対象とした詳細なアンケート結果に基づいたもの。今回の調査結果によって、グローバルでは50歳以上の42%が平均寿命に対して10年以上の経済的な備え不足、退職準備で「何もしていない」と回答した割合が日本は世界平均の2倍以上、日本では退職準備の遅れが顕著で早期に準備を開始するための金融リテラシー向上が急務など、が明らかとなった。
調査結果をNICAが分析したところ、調査対象とした国・地域全体では、50歳以上の42%が平均寿命に対して10年以上の生活資金不足に陥る可能性があることが分かった。アジア太平洋地域全体ではこの割合は比較的低く、台湾(14%)やシンガポール(15%)が最も準備が整っている一方、日本(37%)と香港(30%)は最も準備不足との結果になった。さらに、人生100年を前提にした場合、グローバル全体では約81%の人々が少なくとも10年分の生活資金の備えが不足するリスクがある。アジア太平洋地域では香港(82%)と日本(72%)が特にその割合が高く、同地域が世界で最も高い平均寿命を誇ることを考えると、これは大きな懸念と指摘している。
2050年までに世界で約367万人が100歳を超えると予測され、日本もその中心的な国の一つ。「100年人生」はもはや特別ではなく現実であり、退職後の生活資金不足リスクへの対応は各国・地域において急務と指摘している。
また、日本では、退職準備の一環として「投資を最大化する方法を学んだ」と回答した人はわずか9%にとどまり、グローバル平均の18%の約半分。また、投資先について尋ねたところ、現金を保有している人の割合は73%と、グローバル平均の64%を上回っている。これは、日本での現金偏重の強い傾向と、資産形成における多様性の不足を示している、としている。
日本の回答者の65%が「政府による十分な老後の支援は期待できない」と回答、公的年金制度への信頼低下が顕著に表れた。一方で、「退職後の安心感を高めるために現在どのような行動を取っていますか?」という質問に対して、「何もしていない」と答えた人は31%に上り、グローバル平均(14%)の2倍以上だった。これらの回答結果からは、準備の必要性を認識しながらも、具体的な行動に移せていない現状がみえる。
「長寿に備えた準備でどの分野にもっとサポートやガイダンスが必要ですか」という問いには、日本人の43%が「経済的な備えのための計画と年金」と回答し、グローバル平均(26%)を大きく上回った。また、「長生きしてお金が足りなくなるリスク」と「早く亡くなって貯蓄を楽しめないリスク」のどちらを恐れるかという質問では、37%が前者を選択し、グローバル平均(20%)の2倍近く。これらの結果は、金融リテラシーの向上が必要であることを示唆している、と指摘している。
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