人の生活安定・豊かさにつながる「宇宙」活用のビジネスに着目
執行役員ビジネス開発本部長の浅野 孝氏に聞く
東京海上アセットマネジメントの「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)/(為替ヘッジあり)」(2018年9月12日/19年4月9日設定)が話題を集めている。日本を含む世界の取引所に上場されている株式などの中から成長が期待される宇宙関連企業の株式などに投資するファンドである。このほど純資産総額が2,000億円を突破した。為替ヘッジなしの設定来上昇率は7月31日現在、214.62%に達している。宇宙ビジネスの世界は人工衛星の製造・運用に加え、人工衛星を利用したサービスなど、幅広い領域での成長が期待されている。宇宙ビジネスの現状と見通し、同ファンドの特色や運用などについて東京海上アセットマネジメント執行役員ビジネス開発本部長の浅野 孝氏に聞いた。
宇宙に対する認識の劇的な変化
私たちの宇宙に対する認識は、アポロ11号の月面着陸やスペースシャトル、日本人宇宙飛行士の活躍、宇宙旅行など夢のある世界として語られてきたが、そこでずっと止まっているのではないかという気がする。宇宙関連の株式やプロジェクトといっても、まず私たちの目が向くのは、人工衛星やロケットの打ち上げやボイジャーで遠くまで行くとか、さらに一歩進んでも人間が宇宙旅行を頻繁にできるなどロマンチックなイメージが常識だったといえる。しかし、今、株式投資として宇宙が注目されているのは、そこと大きく様相を異にする流れがこの5年、10年の間で急激に出てきたためだ。例えば、気象では、人工衛星が宇宙から地球を観測することで地球のどこで気象災害が起こるかということを、精密に予測することができるようになっている。漁業では、宇宙から魚群を見つける。農作物ではお茶でも野菜でもコメでも、その地域でいつ収穫するのが最適な日かがピンポイントで分かる。デパートの駐車場の混み具合で売り上げ予想ができる。こうした地球上の生活の様々な部分に宇宙からの情報・技術を活用することにより生活がより豊かになっている。
宇宙ビジネス、扉がやっと開いたばかり
株式との関連でみると、株式や個別銘柄にまつわるテーマという場合、個々のテーマ性は一般的には賞味期限の短いものを連想しがちで、テーマとブームがいっしょになることでもてはやされているのではないかと受け止められることもある。しかし、宇宙はそうではない。思い出していただきたいのが、1990年代後半からのインターネット普及に伴うITブームと呼ばれた時代だ。当初、一種のテーマと捉えていたが、振り返ってみれば、テーマではなくて、イノベーションや産業革命だったわけで、今も発展が続いている。IT業界の株価の上昇については語るまでもないだろう。宇宙関連ビジネスはロマンチックなテーマだと思われがちだが、人類の生活、産業の発展に貢献し、遠い無重力の世界の宇宙のことながら成長はしっかりとして地に足がついているイノベーションとして、ここから数十年にわたって続くであろう長い成長の扉がやっと開いたばかりの段階と、多くの起業家や事業家が注目している。
実際の宇宙ビジネスの実態はどうか。人工衛星は、手のひらサイズまで小型化し、低コスト化が進んでいる。また人工衛星が世界で1日10発弱ほどのペースで打ち上げられ、成功率も上昇している。AI技術の進歩もあり、宇宙から得られるデータを含めたビッグデータ解析が当たり前になりつつある。次のフェーズとして2040年から50年ごろになると宇宙での資源開発へのステップとなるのではないか。宇宙におけるごみの除去や宇宙での太陽光発電、火星探査なども考えられる。過去から現在まで、そしてこの先の未来まで宇宙関連ビジネスは大きく成長することが想像でき、それに関連する企業群がともに拡大・成長することも投資家の皆さまにも想像いただけるだろう。
運用状況
こうした宇宙関連ビジネスの成長に着目した「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)/(為替ヘッジあり)」は、運用のバランスが取れているという点が強みである。ロケットや人工衛星を作っている企業、人工衛星からのデータを利用するサービス、人工衛星による新たな通信網開発など、宇宙関連ビジネスは様々に色分けされ、一部企業に偏らない。
国別構成はアメリカが7割と多いが、日本、フランス、カナダ、イギリスなどへの広がりがある。セクター別では、以前はロケットや衛星の製造・開発関連が半分ほどを占めていたが、25年7月31日現在はこれら資本財・サービスが39.3%となり、情報技術が32.8%に上昇、コミュニケーション・サービスが7.4%、一般消費財・サービスが7.4%などと続いている。過去IPO(新規上場)銘柄に投資した実績もある。
株式などの運用は「ヴォヤ・インベストメント・マネジメント・カンパニー・エルエルシー」のグローバル・スペースチームが担当、ロケットや衛星の製造・開発関連に捉われない宇宙全体を捉えた運用のコンセプトにも銘柄分析にも魅力がある。
「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」は25年7月31日現在で全世界株式型や米国株式型のインデックスファンドと比較しても、1年、3年、5年の各期間でリターンが上回っている。このリターンの動きにいち早くご注目いただいた情報感度の高い投資家の皆さまにご投資いただき純資産総額は拡大傾向だ。今後の宇宙関連ビジネスの成長に期待できると共感される投資家の皆さまにはインデックスファンドに加えて、「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)/(為替ヘッジあり)」にご注目いただきたい。