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ファンド情報2025年9月10日

【速報版】ファンド情報 JPモルガン・アセット・マネジメント 第17回企業年金(DB年金)運用動向調査

国内債への本格的な回帰は温存

世界的インフレ・国内金利先高を警戒

JPモルガン・アセット・マネジメントは、2025年4月から6月にかけて日本国内の75の確定給付型年金(以下「DB年金」)を対象に、足元の運用状況の変化および今後の運用の方向性についての聞き取り調査を実施し、このほど、その結果を発表した。

今回のDB年金の運用動向調査によると、世界的なインフレ懸念と国内金利の先高観を背景に、政策アセット・ミックス(AM)が総じて “利回り重視”に大きく変容していることが明らかになったと指摘、具体的な動きとして、急激な国内債の金利上昇で目線が引き上がる中、国内債の資産配分が反転して減少し、安定したリターンが時限的に期待できる一般勘定(元本と一定利率が保証される保険商品の運用)が増加した。日銀の利上げにより円金利環境は改善しているものの、DB年金の国内債への本格的な回帰は温存された格好である。また引き続き高い内外金利差によってヘッジコストが高めで推移しており、ヘッジ外債の相対的な魅力を低下させる要因となっている。さらに、増加傾向が続くオルタナティブでもインフラやプライベート・デットといったより安定したインカムが期待される低流動性資産へのシフトが見られた、としている。

◎DB年金の資産配分の変化は以下の通り。
①オルタナティブの増加と一般勘定への需要の急増
25年3月末の政策AMにおいて、オルタナティブの割合がポートフォリオの24.9%と過去最高の水準となり、一般勘定も増加した。保険会社による一般勘定の魅力度向上(一時的な上乗せ利率や還元積極化)がDB年金にとってタイムリーな選択肢となったと考えられる。

②国内債券の減少傾向の再開
昨年の調査では日銀の金融政策の正常化を受けて下げ止まりを見せた国内債券の配分比率が、今回の調査では再び減少となった。

③外国債券の配分の見直し
為替ヘッジコストの高止まりと円高リスクの顕在化を受け、外国債券の配分を見直す動きが一部に見られたが、その動きは一巡した可能性もある。外国債券の為替ヘッジ比率は低下しており、為替ヘッジをやめたDB年金も複数見られた。

④グローバル枠採用の増加
グローバル枠(国内資産と海外資産を一体として資産配分を管理)を採用するDB年金が増加しており、グローバル枠では、オルタナティブの割合が30%を超える結果となった。

◎今後の資産配分の方向性は以下の通り。
①オルタナティブの根強い選好
これまでの旺盛な需要の裏返しで定常状態に入った可能性があるものの、オルタナティブへの需要は引き続き高い。特にインフラやプライベート・デットといったインカム系資産がオルタナティブ投資をけん引した。

②一般勘定の増加検討が最多に
今後増加させると回答したDB年金の中で、一般勘定がオルタナティブに並び最も高い得票率となった。

③日本国債の金利目線の上昇
日本の10年物国債の利回り水準が17年ぶりの1.5%水準に達したが、過半数近くが1.75%以上、うち35%が2%以上の目線で日本国債の増加を検討しており、DB年金の目線が切り上がっていることが判明。これは、急激な金利上昇への戸惑いとも捉えられる。

④内外債の入替準備は健在
日銀の金融政策の正常化を受けてポートフォリオの変更を「検討する/考慮する」と回答した割合は減少したが、検討するDB年金の多くは「外国債券の削減と日本国債の増加」を主な対応策として挙げている。

今回の調査結果について、グローバル運用商品部 株式マルチアセット投資戦略室長の國京 彬氏のコメント。
「インフレ環境の定着や円安の進行、拡張的な財政など、日本経済は新たな局面に入っている。DB年金の資産配分は、これまでのリスク抑制から、脱ヘッジ外債のバーベル配分や低リスク資産のメンテナンスに比重を移す動きが見られる。こうした動きは、DB年金が利回り資産を総点検する局面に来ていることを示しているとみている。DB年金の資産配分では、円金利の動向はもちろん、米金利の行方やヘッジコスト、将来の一般勘定の利率(上乗せ含む)、受け皿となるオルタナティブの具体的戦略など多くの材料が影響していると考えており、より俯瞰(ふかん)的な視点が一層重要になるだろう」と語っている。

同調査は日本国内の企業年金を対象に、25年4月から6月にかけて実施された。調査は、確定給付企業年金73、共済など2、合計75のDB年金から回答を集計し、まとめたもの。

※速報版は最終的な校了前の紙面記事です。今後、修正等が入る場合があります。

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