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銘柄・相場情報2023年6月1日

企業研究 アピリッツ(4174・S) エンジニア「人材」の宝庫、他社不足までカバー

人材は「3事業」で補完・有効活用

【企業概要】ネット関連「開発」の老舗
Visionは「ザ・インターネットカンパニー」、Missionには「セカイに愛されるインターネットサービスをつくり続ける」を掲げる。インターネットの黎明(れいめい)期だった2000年に学生3人が起業したのが始まり。インターネットに関わるいろいろなサービスが世に出始めてから現在まで各種開発を続けている。

【事業内容】主軸2事業で116%成長継続
3つの軸、「Webソリューション事業」と「オンラインゲーム事業」、そして23年1月期2Qから開始した「デジタル人材育成派遣事業」を展開している。「Webソリューション事業」は祖業でもある各種サービス開発を、「オンラインゲーム事業」ではスマートフォン向けゲームを手掛けており、この2軸だけで過去10年間は平均116%の安定的成長を続けてきた(図)。

①Webソリューション事業
例えばテレビCMを大規模に展開されているふるさと納税サービスやアルバイト情報提供、個別学習指導などを手掛ける会社から依頼されて、アプリなど各種システムを開発・運営している。

いわゆる「下請け」だが、入口となる「戦略・企画のコンサルティング」から「システム開発・保守」までを一気通貫して対応していることが特徴だ。例えばふるさと納税サービスを展開する会社に対しては、ビジネスモデルを理解した上で「どういう人に使ってもらう」といったユーザーのターゲティングから始まり、ウェブサイトやアプリのデザインを企画。実際に開発して、運営保守までを担当している。

ビジネスモデルを熟知することはクライアントのコスト削減にもつながる。競合が多数ある中でも開発を一から立ち上げることは非効率でもあり、結果、当社の顧客継続率は8割程度と高水準を維持している。

ちなみにインターネット関連サービスの「企画」、いわゆるDXと呼ばれる「データ管理」、そして「データ運用」などそれぞれの領域には競合が存在するものの、全てを一気通貫で回せるのは当社だけ。

②オンラインゲーム事業
ヒットの有無に業績が左右されがちなゲーム事業だが、当社は「安定的」だ。ゲームを自社開発するだけでなく、パートナー企業から開発あるいはリリース後の運営を委託されるケースがある。ゲーム会社はヒットした作品であっても開発に人員を最優先して投入、運営のみ当社が行うといったことが発生するため。もちろん自社開発したゲームがヒットすればプラスのインパクトになる。

③デジタル人材育成派遣事業
開発会社である以上プロジェクト稼働数は一定でなくコントロールもできず、そこで、社内のエンジニアを有効活用するべく立ち上げたのが「デジタル人材育成派遣事業」だ。未経験者の採用・育成は10年以上前から続けており、実践の場が豊富なために彼らの成長速度が速くノウハウも既に蓄積されていた。

【直近業績&成長戦略】M&Aで成長加速
23年1月期は売上高が前期比52.7%増の73億2,300万円、営業利益は同98.4%増の4億6,200万円だった。売上高は3事業ともに成長。カギとなるエンジニア数も順調に拡大している(※1)。開発会社のため「売り上げが急に倍になる」は見込めないもののM&Aで成長加速を実践しており、今後も継続する。

※社員数は22年1月末時点548人から23年1月末時点151人増の699人に。ちなみに23年4月入社予定の新卒内定者は前年比21人増の64人。

◎本稿は4月8日に福岡市内で開催された個人投資家向け会社説明会におけるアピリッツ永山亨取締役執行役員CFOの講演内容からポイントを抜粋したものです。
◎6月13日に1Q発表を予定。