【事業概要】老舗建設コンサル
1922年に創業した建設コンサルタント会社。官公庁中心に設計・施工分離の原則が定められている国内の建設業界において、計画・調査・設計など、ゼネコンが手掛ける工事施工の「前段階」を担う。
強みは「100年企業」としての歴史・伝統・実績だ。
単一施設にとどまらない、都市計画や区画整理など大規模な基盤整備事業と連携した「まちづくり」。豊富な経験と高い技術はもちろんのことだが、実はもっとも欠かせないのが「合意形成に向けた調整力コミュニケーション」。まちづくりを推進するためには地域住民、行政、事業主など関係者間における合意形成が欠かせず、これをスムーズに進める高い調整力を、オオバはワンストップで提供している。
近年は官公庁向けのみならず民間企業からの案件を拡充させている点も大きな特徴だ。足元では民間が伸び、官民比率は5対5となっており、結果、景気変動の影響を受けにくい体質を実現した。
【直近業績】14期連続増益中
前2025年5月期で14期連続の営業増益を達成するなど、業績は順調そのもの。今期については第1四半期(6~9月)が減収減益で落ち込んだように見えるが、前年同期の土地区画整理事業における一過性の業務代行収入の反動によるもの。利益率は大きく改善している。
業務区分別に分解すると、主力の建設コンサルタント業務は売上高が27億2,800万円、営業利益が9億1,500万円と、前年同期の25億7,100万円、8億1,000万円から、それぞれ伸びている。
会社側は中期経営計画として、28年5月期の売上高200億円、営業利益24億円を掲げている。前25年5月期からの3年間で営業利益率、ROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)、3指標いずれも12%成長を目指す。
【市場環境】死角なし
大前提として、オオバの本業そのものが「社会課題の解決」であり、市場規模の拡大に疑いの余地はない。例えば「国土強靭化(きょうじんか)」。政府が今年6月に発表した新たな中期計画では、事業規模が従来の15兆円から、20兆円強程度に引き上げられた。
円安が進む中で製造業の国内回帰も進んでいる。加えて地政学リスクが低い日本におけるモノづくりは今後グローバルでさらに注目が高まりそうだ。例えば熊本における半導体製造工場の造成設計を、当社は既に受注している。
近年、わが国の建設投資は増額傾向が続いている。平成4年のピークから平成22年のボトムにかけて約50%減少したが、令和6年にはボトムから74%まで回復してきている。国土交通省が発表する技術者単価も直近3年間で16・6%上昇し、平成24年度との比較では58.6%も上昇している。言うまでもなく、これらは全てオオバの業績にとって追い風となる。
【成長戦略】技術を“可視化”
同社では処遇改善など人的資本などへ集中的に投資を行うことで、成長を確かなものにする。特に官公庁案件の入札などでは必須条件となる技術資格の保有者を増加させる。有資格者数は2017年5月期の320名から、25年5月期には517名と、約200名増加した。中計最終28年度には650名体制を目指す。
【株主還元】増配傾向を維持
28年5月期を最終年度とする中期経営計画では、総還元性向60%程度、配当性向50%程度を掲げている。前期は自己株取得(1億7,300万円)を実施したことで総還元性向は63%に上昇した。今期は、年間配当については前期と同額の42円を計画し、自己株取得については10月までに6,400万円を取得済み。会社側は中期経営計画の中で「増配イメージ」を示しており、最終28年度の営業利益24億円を達成した場合、配当48円程度をシミュレーションしている。
株主優待も拡充している。1年未満・1,000株以上の保有者に対して、贈呈するクオカードを2,000円から2倍の4,000円に変更した。加えて「3年以上」を新設して長期保有者に報いる。
【株価推移】2年で1.5倍高
株価は足元1,000~1,100円近辺で推移している。PBRは約1.4倍、PERは12~13倍。流通株式時価総額はプライム市場上場維持基準の100億円を超えてきた。
※本稿は11月19日に日本証券新聞が大阪で開催した個人投資家向け会社説明会におけるオオバ代表取締役社長執行役員の辻本茂氏、常務執行役員の片山博文氏による講演内容からポイントを抜粋したものです。
※速報版は最終的な校了前の紙面記事です。今後、修正等が入る場合があります。
