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銘柄・相場情報2023年6月22日

企業研究 中古車販売業界の「勝ち組」へ グッドスピード(7676・G)

【事業内容】SUV専門店いよいよ全国展開

名古屋に本社を置く中古車販売会社で現在は26店舗を展開する(※1)。これまで愛知、岐阜、三重、静岡の東海4県で店舗を展開していたが、2020年の沖縄進出を皮切りに、21年には兵庫に進出。そして23年の夏以降には大阪、福岡への出店を予定するなど近年は全国展開に舵を切った。

競合が多い業界にあって特長は「特化型」であること。中古車販売店で勤務していた創業者で社長の加藤久統氏が、創業当時まだめずらしかったSUV(スポーツ用多目的車)というジャンルの車の人気化を予感。ところが取り扱い店が少なく苦労するお客さまが多かったことから、02年に専門店を立ち上げた。新車販売台数に占める割合が5%程度だったSUVだが、現在では27%と4分の1以上を占めるまでになった。

【成長戦略】「付帯サービス」7年かけて積み上げ

「クルマ・バイクにおける『安心』・快適・楽しいカーライフの提供」を目指しており、具体的には、ユーザーに対して車の販売と買い取りを行うだけでなく、販売後にはアフターサービス(付帯サービス)として車検、鈑金塗装、保険などの提供まで行う。

売上高は「自動車販売関連」が約9割と大部分を占め、「付帯サービス関連」はまだまだ小さいものの利益率が非常に高いことが大きな特徴だ。「付帯サービス関連」は利益についても現在は2割程度にとどまるが、将来的には5割程度にまで高まるとみている。なぜなら中古車の場合、ユーザーが車を買い替えるサイクルは平均7年といわれており、つまり、全国展開に舵を切った同社は新規出店から7年かけて、その土地のユーザーとの関係性を構築しながらストックビジネスのように売り上げ・利益を積み上げていく――といった成長を同社はイメージしている。

【業界動向】大手によるシェア拡大が顕著

かつて家電量販店などで起きた業界再編が中古車販売でも始まっている。国内の中古車販売台数は21年実績で268万5,000台。うち同社の実績(22年9月期)は1万4,793台と、わずか0.6%に過ぎず、しかし最大手でも10万台・5%程度にとどまる。実は中古車販売店は全国に2万8,000店舗、コンビニの半分程度の数の「年間100台販売」という小・中規模の店舗がひしめきあっており、この中で同社は、2000坪以上の敷地内に常時200台以上の在庫を置くフラッグシップ「MEGA専門店」を積極展開することで業界の勝ち組を目指す。

【業績推移】

車といえば「若者のクルマ離れ」など比較的にマイナスのイメージが先行するかもしれない。しかし同社は売上高、利益ともに右肩上がりが続いている。前期実績で売上高は561億円(前々期比25%増)、営業利益は10億円(同64.6%増)だった(※2)。

(※1)本稿は4月8日に福岡市内で開催された個人投資家向け会社説明会におけるグッドスピード松井靖幸取締役管理本部長の講演内容からポイントを抜粋したものです。数値などすべてのデータも4月8日の講演時点のものになります。

(※2)23年9月期通期予想については5月12日、第2四半期決算と同時に下方修正を発表している。新たな計画値は売上高660億円(前期比17.6%増)、営業利益10億円(前期と同額)。会社側は主な要因として「オークション会場への落札価格が下落したため出品・成約台数が減少」「売れ残った小売用在庫の売却における損失額が拡大」などを挙げており、今後は買い取り営業の人員を増加させて買い取り台数を拡大させるなどして挽回をはかるとしている。なお、既存店については売上高が前年同期比6.6%増と堅調なことが確認されており、加えてレンタカー専門店の新規出店を立ち上げるなど成長意欲は引き続き旺盛だ。ちなみに同社は21年にハーレーダビッドソンの正規ディーラーをM&Aしてバイク事業を一気に拡大した経緯もある。