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銘柄・相場情報2025年12月18日

企業研究 表示灯(7368・東証スタンダード) 広告付き周辺案内地図事業「ナビタ」領域さらに拡大

付加価値向上サービスも着々準備中

日常生活にすっかり溶け込む、駅周辺案内地図「ナビタ」を手掛ける表示灯(7368・S)に注目したい。いわゆるアナログ広告が主力ながらも、さらなる拡大余地が期待できそうだ。

【事業概要】

駅の改札付近に設置された「ナビタ」を手掛ける。ナビタは周辺地図を囲むように近隣に位置するスポンサーの店舗情報などを掲載した大型の広告媒体。1967年の創業時、道を“表し示す灯”としたバス停標識への「周辺案内図」が同社の出発点だ。

三方良し「ナビタ」は社会インフラ化
ナビタは企画から設置までの全コストを同社が負担する。設置場所の所有者にとって導入のメリットは大きい。普段、利用者から目的地までの経路を尋ねられる鉄道会社の職員にとっては、「ナビタ」が代わりに道案内をするため、一般利用者へのサービス向上と業務効率化が同時に図れる。

有料で情報を掲載するスポンサーにも大きなメリットがある。広告の“集合体”であるナビタへの出稿は単価が抑えめに設定されていること。加えて地図上に赤字で分かりやすく社名が記載されるため、一般利用者に公共性の高さを意識させることもできる。

現在ナビタは2025年9月末現在で全国4,000を超える場所に設置されている。JRを含めた鉄道各社のみならず、自治体庁舎、警察署・交番・運転免許センターなどの警察関連施設、そして近年は病院、神社・寺院などへと領域が拡大している。鉄道向け「ステーションナビタ」は全国2,390駅に設置済み。これは乗降者数1日3万人以上の主要駅の80%超にあたる。

先行者メリット享受、競合の“隙ナシ”
58年にわたって築き上げた関係性を活かすべく「サイン事業」も展開している。鉄道駅の改札やプラットフォーム、自治体庁舎などで使用される案内板や各種看板の企画設計から施工までを手掛ける。

電車内広告といった交通媒体にも対応している。テレビやラジオ、新聞、雑誌などのマス媒体を含めた幅広い出稿先を提供する「アド・プロモーション事業」も手掛けており、ナビタ事業を含めて、これら3事業を複合的に組み合わせた独自サービスが提供できている点も、同社の大きな強みと言える。

【成長戦略】

3事業のうちナビタ事業が売上高の8割を占める。特に鉄道向けについては先行者メリットが大きく競合不在だが、新規開拓の余地が限定的であるという課題も。そこで今年6月「電車ナビタ」をリリースした。駅ではなく、そこに乗り入れる鉄道会社ごとに車両イメージをデザインしたナビタを設置することで、一般利用者が思わず触れたくなるなど“一気に距離を縮める”新たなコミュニケーションを生み出した。

コア事業“深掘り”でさらなる飛躍へ
自治体庁舎などで順番に利用者を呼び出す「番号案内システム」。ナビタ設置先からの依頼で以前から手掛けてはいたが、業界では後発だった。しかし23年に競合大手から同事業を譲り受けたことで一変。今後は既存ビジネスと掛け合わせながら、公共サービスにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)化促進の起爆剤になることが期待される。

他社との連携についても新たな兆しが。今年10月、独自の行動認識AI技術を持つ警備システム提供会社のアジラと業務提携を発表した。危険を事前に察知してアラートを関係各所に発信したり、ナビタ本体あるいは周辺利用者に通知することで異常事態を可視化、最適な導線を示すなど、今後展開するサービスの新しい役割を準備している。

【直近業績】

前25年3月期は前の期比で減収増益だった。売上高はサイン事業における大型案件の有無で増減する傾向があるものの、利益については営業強化や戦略的な設備投資の実行などで大きく改善することができた。今期については第2四半期(4~9月)時点で前年同期比0.4%増収、5.8%営業増益と堅調推移が確認されている。

会社側は、新たなデジタルソリューションの提供など、唯一無二のノウハウが発揮できる周辺領域の増強を明言している。さらなる上積みを期待したい。

※本稿は12月4日にフィナンテック/東京IPOが開催した個人投資家向けオンラインセミナーにおける德毛孝裕代表取締役社長による講演内容を抜粋したものです。

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