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トップ記事2024年4月15日

円安進行時に上昇する銘柄は 意外にも(!?)百貨店株が上位に

今年は日銀の利上げとFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げで円高に転じるという予想が多かった。しかしながら、ふたを開けてみれば米国の物価上昇はしつこく、米利下げ観測後退による日米金利差の縮小期待後退などから円安に拍車。足元は中東情勢緊迫化もあり、週明け15日の東京外国為替市場では一時1ドル=153円85銭近辺まで下げ、1990年6月以来、約34年ぶりの安値を付けた。一部では日本政府による為替介入は1ドル=155円程度あたりで行われるとの観測も出ているが、「介入警戒感よりもむしろ期待感が漂う」(市場関係者)との声も聞かれる。

次の節目は155円、160円ともされる中、みずほ証券は12日付ストラテジーレポートで、円安のプラス・マイナス効果について言及。円安による輸入インフレは実質所得の低下を通じ、個人消費にネガティブに働くが、輸出企業にとっては追い風になるため、トータルでは株価上昇要因になるとしている。

同証券は円安進展時にアウトパフォームする傾向のある銘柄を探るため、「円ドルレートの変化率に対するリターンの感応度の高い銘柄」をスクリーニングにより抽出した。対象は時価総額500億円以上の企業で、分析期間は直近5年間。

円安の進展時にアウトパフォームする傾向のある主な銘柄
銘柄 コード 対円ドル感応度 海外売上高比率 PBR
海外合計 対北中米
SUBARU 7270 6.0 84.6% 75.4% 1.13
三菱自 7211 5.9 78.8% 24.9% 0.83
マツダ 7261 5.8 83.7% 42.8% 0.70
H2Oリテイル 8242 5.7 0.92
ホンダ 7267 5.6 88.1% 52.9% 0.82
三越伊勢丹HD 3099 5.1 1.70
高島屋 8233 4.9 0.99
トヨタ 7203 4.9 83.2% 39.3% 1.89
パイオラックス 5988 4.7 55.1% 21.5% 0.95
クラレ 3405 4.6 78.6% 21.9% 0.85
トヨタ紡績 3116 4.6 61.1% 13.7% 1.09
日産自 7201 4.2 84.5% 52.1% 0.41
リコー 7752 4.2 64.2% 52.1% 0.86
TSテック 7313 4.1 85.3% 44.7% 0.86
住友ゴム 5110 4.0 70.5% 22.4% 0.80
ブラザー 6448 4.0 85.7% 34.2% 1.13
グローリー 6457 3.9 60.9% 27.1% 0.82
シチズン時計 7762 3.8 74.6% 26.7% 1.12
豊田合成 7282 3.7 62.5% 22.6% 0.85
NOK 7240 3.7 67.4% 0.67
ジェイテクト 6473 3.6 64.1% 26.3% 0.67
FCC 7296 3.6 92.2% 42.1% 0.70
パイロット 7846 3.6 75.6% 31.3% 1.33
Jフロント 3086 3.5 1.17
※時価総額500億円以上、分析期間は直近260週、データは4月11日時点。みずほ証券エクイティ調査部作成資料より弊社編集。

結果は表の通り。対北中米比率75.4%のSUBARU(7270・P)、同52.9%のホンダ(7267・P)など大型外需株を中心に“いつもの顔触れ”が並ぶ中、目を引くのは百貨店株。H2O リテイリング(8242・P)が4位、三越伊勢丹HD(3099・P)6位、高島屋(8233・P)7位とトップ10にランクインし、トヨタ(7203・P)日産自(7201・P)などをもしのぐ。ちなみにJ.フロント リテイリング(3086・P)は17位タイ、松屋(8237・P)も20位タイと上位にある。

日本百貨店協会によれば、今年2月の全国百貨店売り上げ伸び率は前年同月比14%増と前月より6.9ポイント上昇し、24カ月連続プラス。2019年比でも6.3%増とコロナ前の実績を上回っている。インバウンドは円安と春節休暇による客数増から171.5%増(23カ月連続)の469億円と、調査を開始した14年10月以来、過去2番目に高い数値(過去最高は23年12月の477億円)。売り上げ構成比で初めて1割を超えたほか、19年比でも47.5%増と8カ月連続でコロナ前の実績を上回った。

前週末12日に高島屋が決算と同時に中期計画を発表した。今後はJフロント、H2Oが本決算と同時に中計を、三越伊勢丹HDは中計のアウトラインを公表予定。資本効率改善、株主還元方針などが注目される。(Q)