急反落に転じた8日の市場で関心を集めたのがアクティビストの動向。英アセット・バリュー・インベスター(AVI)と香港オアシス・マネジメント・カンパニーがともに8日付でリリースを発行したためだ(写真参照)。AVIは豊田自動織機(6201・P)の1.7%、アイチコーポレーション(6345・P)の0.1%を保有する株主で、両社の親子上場解消を要請する内容。6月の総会での株主提案は実施しないが、特設サイトなどでキャンペーンを行っていく。オアシスは、約18%保有する北越コーポレーション(3865・P)の6月27日株主総会で岸本晢夫社長らの解任と取締役5名選任の株主提案を行っているが、会社側による4月23日付の公開質問状に反論する声明を発表し、あらためて株主提案議案への賛成を呼びかけている。
全般軟調地合いとあって、いずれも反応薄にとどまっているとはいえ、総会シーズンを前にしたアクティビストの動きは活発だ。AVIが7日引け後に提出した変更報告書で買い増しの判明したTSIHD(3608・P)が4月15日高値を払って7年ぶりの高値水準となったほか、同じく旧村上ファンド買い増し判明のアルプスアルパイン(6770・P)も2年ぶりの高値圏に買い進まれた。ニッポン・アクティブ・バリュー・ファンド買い増しのホギメディカル(3593・P)も3月以来の戻り高値、といった具合だ。
また、7日引け後に発行済み株式の5.5%を上限とする大規模な自社株買いを発表した川崎汽船(9107・P)は、シンガポールのエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが38.52%保有する銘柄だ。同社が大株主の銘柄ではこれまで第一生命HDやリコーでも発行済み株式の10%を優に超える自社株買いが実施された経緯があり、今回も水面下の対話におけるアクティビストの力を見せつけた格好か。
そしてさらに、6月総会でも8銘柄に株主提案を行った日本最強のアクティビスト、ストラテジックキャピタルの丸木強代表取締役は9日、初の書籍「『モノ言う株主』の株式市場言論」を発行する。かつての“村上ファンド事件”から、当初は表に出ることを敬遠していた丸木氏も堂々と書籍で持論を展開できる時代が来たということ。株主提案の寄せられた表の銘柄群あたりはなお注意が怠れないと言えよう。
表面化している主な株主提案 | |||
総会開催日 | 銘柄 | コード | 提案株主(代理人を含む) |
5月23日 | ワキタ | 8125 | ストラテジックキャピタル |
6月18日 | 文化シヤッター | 5930 | ストラテジックキャピタル |
トヨタ | 7203 | Kapitalforeningen MP Invest | |
6月21日 | 鶴弥 | 5386 | 個人株主2名 |
コメリ | 8218 | 日本バリュー・インベスターズ | |
八十二銀行 | 8359 | ― | |
京阪神ビルディング | 8818 | ストラテジックキャピタル | |
6月24日 | 大阪製鉄 | 5449 | ストラテジックキャピタル |
6月25日 | 淀川製鋼所 | 5451 | ストラテジックキャピタル |
ニッパツ | 5991 | ロングキャンプSICAV | |
6月26日 | 日産車体 | 7222 | ストラテジックキャピタル |
極東開発 | 7226 | ストラテジックキャピタル | |
東洋証券 | 8614 | UGSアセットマネジメント | |
池田泉州HD | 8714 | 個人株主 | |
6月27日 | 東亜道路 | 1882 | ストラテジックキャピタル |
ダイドーリミテッド | 3205 | ストラテジックキャピタル | |
北越コーポレーション | 3865 | オアシス・マネジメント、大王海運 | |
ワイエイシイHD | 6298 | 個人株主1名 | |
ナガホリ | 8139 | リ・ジェネレーション | |
空港施設 | 8864 | リム・ジャパン・イベント・マスター・ファンド | |
京成電鉄 | 9009 | パリサー・キャピタル | |
6月 | 東洋水産 | 2875 | 二ホン・グローバル・グロース・パートナーズ |