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トップ記事2024年5月8日

急落なんのその アクティビストが躍動 リリース発行、買い増し判明、丸木氏の初書籍も話題に

AVIとオアシスの8日付リリース

急反落に転じた8日の市場で関心を集めたのがアクティビストの動向。英アセット・バリュー・インベスター(AVI)と香港オアシス・マネジメント・カンパニーがともに8日付でリリースを発行したためだ(写真参照)。AVIは豊田自動織機(6201・P)の1.7%、アイチコーポレーション(6345・P)の0.1%を保有する株主で、両社の親子上場解消を要請する内容。6月の総会での株主提案は実施しないが、特設サイトなどでキャンペーンを行っていく。オアシスは、約18%保有する北越コーポレーション(3865・P)の6月27日株主総会で岸本晢夫社長らの解任と取締役5名選任の株主提案を行っているが、会社側による4月23日付の公開質問状に反論する声明を発表し、あらためて株主提案議案への賛成を呼びかけている。

全般軟調地合いとあって、いずれも反応薄にとどまっているとはいえ、総会シーズンを前にしたアクティビストの動きは活発だ。AVIが7日引け後に提出した変更報告書で買い増しの判明したTSIHD(3608・P)が4月15日高値を払って7年ぶりの高値水準となったほか、同じく旧村上ファンド買い増し判明のアルプスアルパイン(6770・P)も2年ぶりの高値圏に買い進まれた。ニッポン・アクティブ・バリュー・ファンド買い増しのホギメディカル(3593・P)も3月以来の戻り高値、といった具合だ。

また、7日引け後に発行済み株式の5.5%を上限とする大規模な自社株買いを発表した川崎汽船(9107・P)は、シンガポールのエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが38.52%保有する銘柄だ。同社が大株主の銘柄ではこれまで第一生命HDやリコーでも発行済み株式の10%を優に超える自社株買いが実施された経緯があり、今回も水面下の対話におけるアクティビストの力を見せつけた格好か。

そしてさらに、6月総会でも8銘柄に株主提案を行った日本最強のアクティビスト、ストラテジックキャピタルの丸木強代表取締役は9日、初の書籍「『モノ言う株主』の株式市場言論」を発行する。かつての“村上ファンド事件”から、当初は表に出ることを敬遠していた丸木氏も堂々と書籍で持論を展開できる時代が来たということ。株主提案の寄せられた表の銘柄群あたりはなお注意が怠れないと言えよう。

表面化している主な株主提案
総会開催日 銘柄 コード 提案株主(代理人を含む)
5月23日 ワキタ 8125 ストラテジックキャピタル
6月18日 文化シヤッター 5930 ストラテジックキャピタル
トヨタ 7203 Kapitalforeningen MP Invest
6月21日 鶴弥 5386 個人株主2名
コメリ 8218 日本バリュー・インベスターズ
八十二銀行 8359
京阪神ビルディング 8818 ストラテジックキャピタル
6月24日 大阪製鉄 5449 ストラテジックキャピタル
6月25日 淀川製鋼所 5451 ストラテジックキャピタル
ニッパツ 5991 ロングキャンプSICAV
6月26日 日産車体 7222 ストラテジックキャピタル
極東開発 7226 ストラテジックキャピタル
東洋証券 8614 UGSアセットマネジメント
池田泉州HD 8714 個人株主
6月27日 東亜道路 1882 ストラテジックキャピタル
ダイドーリミテッド 3205 ストラテジックキャピタル
北越コーポレーション 3865 オアシス・マネジメント、大王海運
ワイエイシイHD 6298 個人株主1名
ナガホリ 8139 リ・ジェネレーション
空港施設 8864 リム・ジャパン・イベント・マスター・ファンド
京成電鉄 9009 パリサー・キャピタル
6月 東洋水産 2875 二ホン・グローバル・グロース・パートナーズ

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