5月3日にバークシャー・ハサウェイ株主総会を控え、同社の会長兼CEOである著名投資家、ウォーレン・バフェット氏への関心が高まっている。バークシャーの総会と言えば、バフェット氏が数時間にわたって世界中から集まった株主の質問に答える恒例のイベント。席上で「日本株推しの発信が十分期待できる」(大和証券・木野内栄治氏)との読みだ。
「潮が引いて初めて、誰が裸で泳いでいたかが分かる」とはバフェット氏の名言の1つ。実際、米国市場の上げ潮が引いてマグニフィセント7銘柄などが急落に見舞われたなかで、近年アップル株などの大量売却を進め、膨大なキャッシュを積み上げて対応してきたのがバークシャー。たとえば21日時点でアップルが昨年高値比25.7%安となるなか、バークシャーは今月2日の最高値から4%足らずの微調整にとどまっている。
そのバークシャー、金額こそこれまでで最小の900億円にとどまったが、4月に10回目の円建て社債を発行したこともあって、一部では「早ければ21日にも新たな日本株買い増しの報告があるのでは」との観測も聞かれた。結局その思惑は空振りに終わったわけだが、積極的な株式売却・債券シフトを進めるさなかの3月17日にも伊藤忠をはじめとする大手商社5社の買い増しを開示しており、各種指標面からも米国市場に対して割安感のある日本株に前向きの姿勢を維持していても不思議はない。
思えばバフェット氏が(東日本大震災年に続く)2度目の来日を果たしたのが2年前の2023年4月。日本経済新聞や帰国後の米国テレビのインタビューで日本株強気論を展開したことが、その後の外国人大量買いを原動力にした日経平均大上放れにつながった。その“再現”とまではいかずとも、それなりのポジティブ発言を得られれば、トランプ氏への不安感から米国離れの様相を示す資金の一部を取り込む流れも期待されてこよう。
なお一部準大手証券は「不透明な相場環境下ではバリュー株の優位が続く」との発想から、今週のウィークリーレポートで「バフェット氏の投資スタンスを参考にしたスクリーニング」を行っている。いわゆる「もしバフェ」(もしバフェット氏が投資するとしたら…)銘柄だ。いずれもプライム市場で、住友林業(1911)、積水ハウス(1928)、野村不動産HD(3231)、日本特殊陶業(5334)、コマツ(6301)、SUBARU(7270)、東京建物(8804)の7銘柄が挙げられていた。もちろん、現実にバフェットが投資するなら時価総額数兆円はないと対象になるまいが、波乱相場にあって、こうした発想は重要だろう。ともあれ、まずは、もう来週末に迫った「5月3日」に注目しておきたい。(K)