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トップ記事2023年9月13日

新潟上場企業のポテンシャルに期待 新潟経済同友会特別幹事 ハードオフコーポレーション 山本善政会長に聞く

過小評価返上へ 14日にIRフォーラム

今、新潟が熱い。11日の新潟市秋葉区で全国最高の36.7度を記録した。雪国イメージとは裏腹に、8月中には9日と14日に三条市で39.8度が観測されるなど、今夏は全国最高温の常連となっているが、むろん熱いのは気候だけではない。今春には新潟市のトキエアが航空運送事業の許可を取得し、大手傘下を除けば「14年ぶりの国内線参入」として話題を集めた。就航もいよいよ目前に迫る。そして、悲願の「佐渡島(さど)の金山」世界遺産登録に関しても、8月30日に国際記念物遺跡会議(イコモス)の現地調査が終了。昨今の急速な日韓関係改善を踏まえれば、早期の実現も夢ではなさそう。勢いに乗る新潟では14日、今年で第5回となる「新潟県上場企業IRフォーラム2023」が開催される。新潟経済同友会の特別幹事として、フォーラムの旗振り役を務めるハードオフコーポレーションの山本善政会長(写真)に話を聞いた。

――3年ぶり開催となった昨年のIRフォーラムへの参加者数は。

「正規の入場者は1,000人程度だが、受け付けを通さずに入られる方も続出する盛況ぶりで、肌感覚ではその倍ほど来場されたのではないか。今年は3,000人規模となる可能性もある」

――今年は開始時間を1時間繰り上げたほか、初めて学生向けのブースを設けたことも特徴だ。

「新潟には21の大学があるが、卒業すると出て行ってしまう若者が多い。県内にもしっかりした上場企業がこれだけあるということを知ってもらいたい。ブースやセミナーで出展していない上場企業も含めた各社のパンフレットを置いて、就活に役立ててもらえればと考えた。まだ夏休み中の大学生も多そうだが、100~200人程度の来場を想定している」

新潟県の上場企業
銘柄 コード 市場 PBR 事業内容
雪国まいたけ 1375 P 3.5倍 キノコ生産販売
第一建設工業 1799 S 0.4倍 線路工事
田辺工業 1828 S 0.7倍 プラント建設
植木組 1867 S 0.3倍 建設
福田組 1899 P 0.5倍 新潟首位ゼネコン
ブルボン 2208 S 1.0倍 食品
亀田製菓 2220 P 1.4倍 食品
岩塚製菓 2221 S 0.4倍 食品
ハードオフ 2674 P 1.4倍 小売り
セイヒョー 2872 S 2.5倍 アイスOEM
一正蒲鉾 2904 P 1.0倍 水産練り製品大手
サトウ食品 2923 S 1.4倍 包装米飯最大手
オーシャン 3096 S 1.0倍 食品スーパー
北越コーポ 3865 P 0.7倍 製紙
キタック 4707 S 0.6倍 建設コンサル
有沢製作所 5208 P 0.7倍 プリント基板
北越メタル 5446 S 0.3倍 電炉メーカー
コロナ 5909 S 0.3倍 石油ストーブ
ダイニチ工業 5951 S 0.4倍 石油ファンヒーター
太陽工機 6164 S 1.1倍 工作機械
北越工業 6364 P 1.7倍 建設用コンプレッサー
ツインバード 6897 S 0.6倍 家電
スプリックス 7030 P 1.4倍 学習塾
日本精機 7287 S 0.3倍 二輪計器世界一
第四北越FG 7327 P 0.4倍 銀行
トップカルチャー 7640 S 1.9倍 蔦屋書店展開
スノーピーク 7816 P 3.6倍 キャンプ用品
遠藤製作所 7841 S 0.3倍 ゴルフクラブOEM
コメリ 8218 P 0.6倍 ホームセンター
アクシアル 8255 P 1.1倍 スーパー
大光銀行 8537 S 0.1倍 銀行
新潟交通 9017 S 0.4倍 バス
リンコー 9355 S 0.2倍 港湾運送
BSNメディアHD 9408 S 0.4倍 TBS系放送局
北陸ガス 9537 S 0.3倍 地方ガス大手
アークランズ 9842 P 0.6倍 ホームセンター
(PBRは12日現在、小数点2位以下切り捨て)

――新潟には好内容の上場企業が多いが、堅実ながら地味でPBR1倍割れも多い(表参照)。

「まじめで宣伝下手な新潟の県民性の表れでもある。学生だけに限らず、大人の間でも知名度を高めるべくもっとアピールする必要があろう」

――新潟本社の上場企業はプロマーケット2社を含め38社。21日にはプロマーケットにもう1社加わる。ただ、7月に新潟初のグロース上場となるはずだったフラーは取り消しとなった。

「『情報管理に問題があり延期となったが、またチャレンジする』とのことだった。プライム14社、スタンダード22社に対し、グロース0ではやはりバランスが悪い」

――以前お聞きした際、新発田市にスタートアップ支援拠点として「ハードオフ・スタートアップ・シバタ」を開設して月額1万円でコワーキングスペースを提供しているなどと話していたが。

「現在は6拠点に増えた。スタートアップ支援では新潟県や新潟経済同友会も力を注いでおり、機運は高まっている。いずれ年に1社は新潟グロース企業誕生といきたいものだ。新潟には創業100年、200年といった非上場の老舗企業も多く、今後はスピンアウト上場なども増えてくるのではないか。上場企業増加は活気の証しとなる。当社で働く従業員数約1万人。こうした企業が増えれば波及効果は大きい。もともと新潟には大きなポテンシャルがある」

――というのは?

「明治20年代頃は人口日本一で(現在15位)、2000年までは証券取引所もあった。これは田中角栄元首相のおかげでもあるが、飛行機、新幹線、高速道路によって片道3時間で日本のどこにでも行ける。平野の広がる地形も強みと言える。当社も創業の地が新潟でなければ、本社を東京に移していただろう」

「仏シャネルが本社を置く都市の人口は6万1,000人、伊フェラーリは1万7,000人。人口10万人足らずの新発田市から世界的企業が誕生しても不思議ではない」

新潟モデルの浸透に期待 東京証券取引所 岩永守幸社長

新潟の上場企業と投資家をつなぐコミュニケーションの場として毎回盛況と聞いており、東証としても、その目的に大いに賛同し、2019年から参加している。

東証でも、地域経済の活性化を図る観点から、各地の自治体などと連携し、地域におけるスタートアップの成長や経営人材の育成を支援する取り組みを推進している。

新潟の取り組みが、モデルケースとして全国に広まっていくことを期待するとともに、東証としても、引き続き、協働していきたい。(K)