SBI新生銀行(8303・P)が12月17日、東証プライム市場に新規上場する。銀行とノンバンクの機能を併せ持つ総合金融サービスを展開。
同社の母体は1952年に設立された日本長期信用銀行。高度経済成長とともに業容を拡大し、70年4月に東証1部に上場したが、80年代後半からのバブル経済の中で損失が膨らみ98年10月に金融再生法に基づき、一時国有化され、上場廃止となった。2000年3月には特別公的管理が終了し、社名を「新生銀行」に変更し、04年2月に東証1部に再上場した。21年12月にSBIグループ入り、23年「SBI新生銀行」に社名変更、非公開化された。
この非公開化により中長期的な成長に向け、SBIグループの中で経営資源の配分などのシナジーやメリットを実現、企業価値向上を図り、自己資本を充実させてきた。25年7月7月には公的資金を完済した。今後は株式上場をはじめとする自己資本の調達手段を多様化させ、収益基盤の拡大を図る。
25年4月に新中期ビジョン「次世代の金融、共に築き切り拓く未来」(25~27年度)をスタートさせ、「法人営業およびストラクチャードファイナンス」、「住宅ローン」、「証券投資」、「リテールバンキング」の4つに四つの要素を発展させることにより、新たな銀行を目指す。具体的な取り組みとしてはSBIグループの顧客基盤を活用し、グループの中核銀行として相乗効果の最大化を図る。また、グループが進める第4のメガバンク構想における中核銀行として、「広域地域プラットフォーマーとなり地域社会に貢献する」という方針のもと、地域金融機関との連携を強化する。全国の地方銀行との取引は全97行中94行にまで拡大している(25年9月末)。
国内バンキングビジネスに関する施策としては4つの成長ドライバーごとに施策を実施する。法人営業ではストラクチャードファイナンス分野でオリジネーション&ディストリビューション体制の強化を通じて、貸出残高および収益の拡大を目指す。住宅ローンではSBIグループ、外部チャネルを活用した競争力ある商品で新規貸出額増加を図る。証券投資では投資対象の多様化とリスク管理態勢の高度化により、安定的な運用収益の確保を目指している。リテールバンキングではネットとリアルのマルチチャネル戦略を推進し、UI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)の向上とともに、安定的な資金調達基盤の拡大を図るとしている。
26年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比18.3%増の1,000億円を見込んでいる。
概要
●事業内容=銀行とノンバンクの機能を併せ持つ総合金融サービス
●本社=東京都中央区日本橋室町二丁目4番3号
●代表者=川島克哉代表取締役社長
●設立=1952年12月
●上場前資本金=1,400億円
●発行済み株式数=8億9,550万株(上場時)
●筆頭株主=SBI地銀ホールディングス(上場前 60・75%)
●公募株式数=5,550万株(新株式発行)、3,350万株(自己株式の処分)
●売出株式数=1億3,300万株(ほかにオーバーアロットメントによる売出が3,330万株)
●仮条件=12月1日に決定
●ブックビル期間=12月2日から5日まで
●引受証券=野村、SBI、みずほ(主幹事)、ゴールドマン・サックス、SMBC日興、BofA、大和、岡三、三菱UFJモルガン・スタンレー、松井、岩井コスモ、極東、Jトラストグローバル、東洋、水戸、むさし証券
業績推移(連結)
| 純利益 | 1株利益 | 配当 | |
| 2024.3 | 57,924 | 70.77 | 2.85 |
| 2025.3 | 84,499 | 112.70 | 2.85 |
| 2026.3(予) | 100,000 | 121.38 | 34 |
| ※単位100万円、1株利益は円 | |||
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