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トップ記事2025年12月30日

日経平均6万円へ

インフレ転換 資本構造改革 高市成長戦略

日経平均(週足)

トランプ関税で世界経済の行方に不透明感が強まった2025年4月、日経平均株価は3万円割れが意識される水準まで売られる場面もあったが10月には再び最高値を更新、5万円の大台に乗せた。中心となって相場をけん引してきたAI関連セクターには11月以降、バブル懸念が浮上、足元も警戒ムードは解けていない。しかし、企業業績は26年、27年と連続して最高益更新が見込まれるほか、高市政権の成長戦略など26年相場への期待は高い。

22年末の2万円台から、3年連続で1万円ずつ大台を切り上げてきた日経平均だが、26年は6万円台乗せが有望視される。

主要指標の年間騰落率
株価 年間当落率(%)
日経平均 25年終値 50339.48 25.91
年間 高値 52411.34(10/31)
安値 31136.58(4/7)
TOPIX 25年終値 3408.97 22.41
年間 高値 3431.47(12/15)
安値 2288.66(4/7)
グロース250 25年終値 675.21 4.82
年間 高値 800.62(8/19)
安値 534.55(4/7)

26年の強気予想を裏付ける材料の一つは良好な企業業績だ。PER算出の基となる最終利益をTOPIXのEPS(=1株利益、野村証券予想)で見ると、25年は前年度比3.2%増、26年は14.3%と大きく伸び、27年も同9.8%増と2ケタ近い増益が予想されている。また、大和証券では26年末の日経平均EPSを2,962円と予想、PER20倍で6万円水準への到達を予想している。

実際、国内企業の業績は好調だ。半導体製造装置、電子部品などのハイテクセクターは米国のマグニフィセント7がけん引する巨額の生成AI、データセンターの投資の恩恵を受け、26年も好調が見込まれる。また、脱デフレから、インフレ転換の流れが本格化していることも大きい。食品セクターに始まった「値上げ」の波は建設業界などにも広がり、業績改善が「賃上げ」につながり、ついに日銀の「利上げ」にまで至ったのが25年だった。26年はこの流れが一段と強まろう。

また、コーポレートガバナンス(CG)改革はスタンダード、グロース市場にも及ぶ見通しで、資本効率の改善が継続する。ROE(自己資本利益率)の向上に伴うPBRとPERの上昇が株価の押し上げ要因となる。資産の効率化という観点からはキャッシュリッチ、土地持ち、制作保有株が多い企業はアクティビストのターゲットになりやすく、市場のプレッシャーにさらされる。26年に改訂が見込まれるコーポレート・ガバナンス・コードでは企業の現預金に関する議論が行われる可能性があるという。何らかの対策を取らざるを得ないだろう。

需給面はどうか。外国人投資家は現物と先物を合わせ、24年と25年1~3月の15カ月間で10兆円売り越したが、25年4月以降は10兆円の買い越しとなっている。CG改革の継続、企業業績の向上などを踏まえると、日本株の魅力は一段と高まっており、外国人投資家の買いが継続する公算は大きい。

企業の自社株買いも継続する。25年の実施額は12月中旬までで18.8兆円、26年は取得計画発表済み分を含め、20兆~21兆円の規模になるとみられる。前年比の伸び率は鈍化するものの、高水準を維持する。また、25年の公開買い付けは約8兆円だった。市場改革の継続を踏まえるとTOB(株式公開買い付け)、MBO(経営陣による買収)による非上場化の流れも続きそうだ。

政策面では高市政権の成長戦略が支えになる。経済安全保障を軸に17の戦略分野が定められた。「国策は買い」だ。なかでもAI・半導体・ロボティクスなどのハイテク、資源・エネルギー、防衛などが物色の柱となりそうだ。設備投資減税など税制面での支援策にも期待できる。

セクターではAI関連などの電機、設備投資、防衛などの機械、「金利ある世界」の復活で銀行、インフレ経済で不動産など。自動車の本格的な巻き返しにも期待したい。一方、中国発のデフレの影響から抜けきれない鉄鋼など素材系は厳しいかもしれない。

リスク要因は日中、米中関係の悪化。トランプ米大統領の言動に揺さぶれられる場面は少なくなったが、11月の中間選挙を含め、トランプ要因も引き続き警戒だ。中期的な成長性は有望ながらAI相場へのバブル懸念はくすぶっており、こちらも波乱の芽は残っている。(M)

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