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インタビュー2021年10月7日

経済アナリスト 馬渕磨理子 気になる企業 アイリックコーポレーション

勝本竜二代表取締役社長CEOに聞く<後編>

3年後に営業利益10億円へ

経済アナリストの馬渕磨理子氏とアイリックコーポレーション(7325・東マ)の勝本竜二代表取締役社長CEO(最高経営責任者)による対談内容を前編(10月1日付掲載)に続いて紹介する。後編では、中期の成長戦略や会社の将来像が語られた。

――足元では『スマートOCR』の需要が高まっているそうだ。

「OCR(光学的文字認識)事業は人手が全く足りていないぐらい忙しい。顧客ごとにカスタマイズするため時間と労力がかかるが、導入後はサブスクリプション方式で収益が積み上がっていく。多くの企業に利用されるほど、将来の大きな利益となって返ってくる」

――OCRは他社も手掛ける。強みは?

「スマートフォンで撮影した写真などから、文字を読み取ってデータ化する。OCRそのものは昔からある技術だが、当社が独自開発した『スマートOCR』はAIを搭載したことが特徴。AIに学習させていくうちに反転文字や罫線の識別まで可能になり、今では保険証券の読み取り以外にも様々な分野で当社のAI―OCRが使われるようになった」

――『スマートOCR』は国勢調査や源泉徴収票のデータ化など、官公庁案件にも採用された。

「国勢調査は4年間で2.8億円、源泉徴収票は39カ月で1.8億円の契約で受注した。SIerからの二次受けなども含め、今後も関連案件には積極的に挑んでいきたい」

――御社が目指すフィンテック企業の姿とは。

「『人と保険の未来をつなぐFintech Innovation』をテーマに掲げている。業界のプラットフォーム化を進め、お客さまのより良い保険選びのお手伝いから実際に保険金を請求する際の手続きの自動化など、保険全般に係るプロセスを入口から出口まで一貫した保険サービスを提供する仕組みづくりを目指す」

――成長戦略に掲げる『3年後のあるべき姿』について。

「“いつでもどこでも”をテーマに、保険ショップの新しいスタイルをつくる。これはデジタルに強い当社だからこそできること。保険IQシステムのスマートフォン対応やロボアドによる最適な保険の組み合わせの提案、チャットボットなどにより、24時間365日、実際の店舗に足を運ばなくても遠隔で同じサービスを受けられる仕組みづくりに取り組んでいく。また、認知度向上施策として、CMやSNS(交流サイト)の展開のほか、MA(マーケティングオートメーション)も強化する。こうした結果のもと、3年後に売上高70億円、営業利益10億円を目指す」

――中国の保険業界でフィンテック分野をリードする平安保険グループを成功事例に挙げている。

「平安保険はもともと中国第3位の生保企業だったが、今では時価総額20兆円クラスまで成長し、間もなく1位の座に就こうとしている。このきっかけとなったのが“マイページ”の存在だった。当社も『IQ(いっきゅう)くんのmy(まい)にち』というマイページをつくり、アイリックコーポレーションのファンを増やそうとしている」

――マイページでファンを増やすとは。

「従来のマイページは既存の契約者に対するサービスというイメージがあるが…。当社の場合は、様々な価値を提供する“暮らしのマイページ”のようなものを目指している。生活に関わるイベント情報の発信や、ゲーム、抽選会などのインセンティブを付けることで、マイページをより多くの一般消費者に利用してもらい、保険クリニックを知るきっかけとなってくれればと考えている」