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インタビュー2022年12月8日

経済アナリスト 馬渕磨理子がアイリックコーポレーションを徹底分析 【後編】

フィンテック事業を第2の柱に育成中

的確な企業分析が人気の馬渕磨理子氏と、アイリックコーポレーション(7325・G)の勝本竜二代表取締役社長CEO(最高経営責任者)の対談を2回にわたりお送りする。【後編】では会社の認知度向上に向けた取り組みや、店舗展開をはじめ今後の成長戦略を聞いていく。

――CM見ました。爽やかで素晴らしい出来栄えです。
保険が分かりやすいというのが『保険クリニック®』の最大のウリだ。広告代理店からもホスピタリティに良さがあると言われた通り、スタッフが親切でものすごく丁寧に教えてくれるところ。なので、2本立てのCMのうち1本はホスピタリティを意識した内容です。おかげさまで放映後は『保険クリニック®』のクリック数が倍以上に伸びました。

――オリコン顧客満足度®の3年連続総合1位というのもすごいです。
オリコンで1位を取るのはかなり難しくて、しかも3年連続となると保険ショップでは初となります。実際に利用されたお客さまにいろいろ評価していただくのですが、8項目のうち4項目でトップ、残り4項目は2位という非常に高い評価をいただいた。

――成長戦略について伺います。店舗展開はどのようにお考えですか。
前期までに15店舗ほど出したので今期は新規出店をやめて、既存店のスクラップ&ビルドを進めていく。例えば、池袋店はもともと空中店舗だったものを人目の多いパルコさんに移しました。地方のショッピングモールに店を出すと周辺の方が集まってくれるのですが、ターミナルステーションはお客さまがどこから来るか分からない。ただし、CMをうってブランディングが上がってくると、やはりターミナルステーションはしっかりキープしておかなければいけない。

直営店舗は現在58店(9月末時点)。『保険クニック®』を知らないエリアに店を出して、そこで認知されながらお客さまが増えていく。まだまだ出店余地はある。

――ソリューション事業はどうですか。
大手生命保険会社との間でいろいろお話を進めている。目標はプラットフォームだと思っているので、生保に弊社のシステムの一部でも使っていただけるよう、かなり積極的にアプローチを推進中だ。競合相手も多いので簡単には決まらないが、技術力だけでなく価格面でも納得をいただかなければならずとてもやりがいがある。

――独自開発されたスマートOCR®の収益構造を教えてください
スマートOCR®は収益構造が3つに分かれている。1つはクラウドサービス提供。子会社のインフォディオのホームページからOCR(光学式文字読取認識)で領収書を撮りたい、あるいはデータ化したいという場合は、簡単に領収書用のクラウドサービスをダウンロードして使っていただける。これだと月額いくらという形の収益が生まれる。

もう1つはOEM(相手先ブランドによる生産)供給。例えば、みずほ銀行さんのデジタルアカウンティングのサービスでは、お客さまはこれまで手作業で行っていた請求書の入力業務をAI-OCRによって省力化することができる。OEM供給なのでお客さまが1枚撮ると収益になる。みずほ銀行さんでデジタルアカウンティングを配布していただき、多くのお客さまが使っていただくと収益が上がっていく。

それから官公庁向けにはまずカスタマイズしたシステムを提供し、その後に毎月定額の収益をいただく仕組みがある。

『スマートOCR®』はデジタル化で最大のチャンスが来ているとの認識だ。どこまで市場性があるか未知の世界なので一気に伸ばしていきたい。3月には埼玉県警にOCR技術を導入していただいた。警察に行くと紙の書類がとにかく多いのですが、1年くらいかけて全てデータ化する。ここがうまくいくと他の県警にも波及すると期待している。