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コラム2024年4月16日

軟地合い乗り切る 決算発表の狙い方 “強気・弱気バイアス企業”を見極めて対処

地政学リスクの高まりを受けた米国株安が直撃。16日の日経平均は一時910.48円安まで売られた。15日にも一時702.60円安となる場面があり(引けは290.75円安)、地合いは不安定さを増してきているようだ。大和証券調べによると、15日のニューヨークダウ「6日続落」は1987年以降の36年余で27回目。仮に「7日続落」に伸びれば13回目で、約3年に一度の珍事ということになる。嫌でも相場変調が意識されてきそうだが、こんな時こそ基本に立ち返るべき。

ちょうど今週末の光世証券あたりを皮切りに、3月期(12月期第1四半期)決算発表シーズンがスタートを切る。そして来週に入れば、23日にニデック、24日にキヤノン、ファナック、25日にキーエンス、信越化学、26日に村田製作所、アドバンテストと、いきなり時価総額上位の主力企業の発表が相次ぐことになる。5月大型連休を挟んだ3月期本決算発表は例年短期決戦型。毎日のように“○○効果”“××ショック”の生じる気の抜けない日々となりそう。選別に耐え得る好実態銘柄へのシフトが問われるわけだが、ここではちょっと変わった視点からシーズン乗り切りを考えてみたい。

3月期本決算発表においては、前2024年3月期収益の着地点以上に重視されるのが今25年3月期見通しだ。1日発表の日銀短観において、今年度の「売上・収益計画」は大企業・全産業で0.9%増収/3.7%経常減益となったが、期初に慎重な見通しを掲げるのは日本企業に特有の傾向でもある。とはいえ、個別企業ベースでは、もちろん一様ではない。

SMBC日興証券が先に、コンセンサスを上回るガイダンス(業績見通し)を出す傾向が強い企業とコンセンサスを下振れる傾向が強い企業をスクリーニングしていたので、それらの上位を決算発表日順に並べ直して表にまとめた。

☆強気の会社計画を出す傾向のある企業
発表日 銘柄 コード
【4月】
23日 コメリ 8218 13
26日 京セラ 6971 14
【5月】
7日 ヤマダHD 9831 13
8日 ネットワン 7518 13
9日 住友不動産 8830 11
リンナイ 5947 11
群馬銀行 8334 11
ハウス食G 2810 11
10日 山口FG 8418 14
日清オイリオ 2602 13
千葉銀行 8331 11
長谷工 1808 11
関西ペイント 4613 11
七十七銀行 8341 11
ミズノ 8022 11
13日 TOPPANHD 7911 11
アコム 8572 11
14日 ニッスイ 1332 14
森永乳業 2264 14
セイノーHD 9076 13
ゼンショーHD 7550 12
アルフレッサHD 2784 12
15日 近鉄GHD 9041 11
20日 東京海上HD 8766 12
★弱気の会社計画を出す傾向のある企業
【4月】
24日 きんでん 1944 16
25日 第一三共 4568 16
NRI 4307 16
エクセディ 7278 16
26日 日本ガイシ 5333 17
30日 BIPROGY 8056 16
【5月】
7日 キッセイ薬品工業 4547 16
9日 不二製油G 2607 18
ツムラ 4540 17
カプコン 9697 16
10日 京王電鉄 9008 16
明電舎 6508 16
13日 横河ブリッジHD 5911 16
15日 共立メンテナンス 9616 17
(SMBC日興証券資料より作成、※は2005年以降で経常利益予想がアナリストコンセンサス予想を上回った/下回った回数)

レポートの趣旨は、後者の“弱気バイアス”企業がコンセンサスを上回る数字を示したら買い、というものだが、目先狙いなら、単純に前者の銘柄を決算発表前に買うといった戦術もありではないか。例えば来週23日発表のコメリ。昨年は決算発表翌日に6.2%高(一時7.4%高)。2年前も発表翌日に3.0%高。発表6営業日後の高値までなら10.1%高となった経緯がある(ただし、いずれもほどなく“いってこい”に…)。(K)