トランプ関税から逃避
21日の東京市場では円高ドル安が一段と進んだ。自動車など輸出関連株が売られ、日経平均株価は一時500円を超える下げとなった。
円高の要因は主に二つ。トランプ大統領が利下げを迅速に進めていないとパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長を批判し、解任の意向を示していること。法的な問題もあり難しいとみられているが、トランプ政権内で解任が検討されているとハセット米国家経済会議(NEC)委員長が18日に明らかにした。解任問題を巡り、米国の金融市場が不安定になることが懸念されている。
もう一つは24日に加藤財務大臣とベッセント米財務長官が会談を行う見通しとなり、為替問題が協議されるとの観測が強まっていること。23~24日に米国ワシントンでG20(主要20カ国財務相・中央銀行総裁会議)が開催され、加藤大臣、植田日銀総裁が出席する。
外為市場では一時1ドル=140円60銭台まで円高が進んだ。仮に140円割れとなれば、2024年9月以来の円高となるが、今後の展開は関税交渉の行方、トランプ大統領次第で、当面は上にも下にも触れやすい。下値を支える材料としてはFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ再開に対する期待、26年の中間選挙や国内情勢をにらみ、トランプ氏の関税政策が一段と軟化する可能性などが挙げられる。
ともあれ、引き続き、円高がプラスになるか、為替の影響を受けにくいセクター、銘柄を選別する戦法が有効となりそうだ。今週後半から本格化する決算発表では輸出関連企業を中心に26年3月期の見通しを保留する企業が増えるものとみられる。内需系の企業でも慎重姿勢が強まると想定されるが、相対的に安心感があり、トランプ関税からの逃避資金を集めやすいだろう。
21日はゼネコン大手の鹿島(1812・P)が年初来高を更新したほか、食品やドラッグストアなどの小売り、外食、運輸・倉庫などに高値更新が目立った。チョコレート、洋菓子のモロゾフ(2217・P)、加工食品、食肉の伊藤ハム米久HD(2296・P)など。小型の銘柄ではシマダヤ(250A・S)、イフジ産業(2924・S)、オカムラ食品工業(2938・S)などが人気を集めている。
運輸セクターではJR東日本(9020・P)、東京地下鉄(9023・P)、倉庫では3PL(物流一括受託)のセンコーグループHD(9069・P)、三井倉庫HD(9302・P)、ヤマタネ(9305・P)などが高値を更新。
小売りではドラッグストア各社のほか、プライベートブランドが好調な企業(関連記事)などが注目される。