長い長いトンネルをようやく抜け出した日本株。日本時間6日早朝に発表されたMSCI指数定期見直しで、日本株は4増/3減となり、2019年11月以来「6年ぶりの純増」を果たした。
MSCIはグローバル運用を行う海外投資家の主要ベンチマーク指数だ。新規採用は荏原(6361・P)、キオクシアHD(285A・P)、西武HD(9024・P)、JX金属(5016・P)で、除外は明治HD(2269・P)、ヤクルト本社(2267・P)、日清食品HD(2897・P)。やや意外感のあったキオクシアが地合い好転と相まって9.9%高まで買われた。一方、SGHDと東京メトロは事前に除外候補とされながら難を逃れたものの、小動きにとどまった。
海外パッシブ資金による買いインパクトが大きいとみられるのが荏原と西武で、大和証券はともに平均出来高の8日分強の買い物流入を試算している。逆に売りインパクトが大きいのは明治HDの7.3日分、ヤクルトの6.3日分など。21日引けにかけて実施され、東京市場全体では約1,170億円の資金流入が試算されている。
なお、冒頭で触れた通り、近年のMSCIスタンダード指数における日本株は急減に次ぐ急減の歴史をたどってきた。2020年以降、前回8月まで17回の定期見直しでトータル28増/166減(22年まで年2回、23年から年4回、表参照)。差し引き138銘柄減を強いられ、直近の採用銘柄数も180まで縮小している。
もっとも、当初の“日本株一人負け”の状況に対して、昨年あたりから変化が生じてきているようだ。昨年2月から今回まで7回の定期見直しにおいて、実は米国株も減少6回・変わらず1回で計63銘柄の純減となっている。この間は全世界で見ても127銘柄減だ。
MSCIは世界の時価総額の85%をカバーするように設計されている。エヌビディアを筆頭とする“マグニフィセント7”各銘柄やブロードコムなど上位陣の時価総額巨大化が進めば進むほど、相対的に小ぶりな銘柄群が不要となって弾き出される構図か。こうしたなかで日本株が今後も存在感を発揮していくためには、個々の銘柄の時価総額底上げが求められる。
少し前に時価総額1兆円超えの銘柄数が過去最大などと報じられたが、今後もMSCI採用増を目指すためにも、次は2兆円クラスの銘柄数増加が不可欠。特に、次のMSCI指数採用候補として名の挙がる、清水建設、イビデン、楽天銀行、ベイカレントや、それに続く銘柄群には一層の奮起を期待したい。(K)
| MSCIスタンダード指数定期入替時の日本株増減 | |||
| 実施月 | 採用 | 除外 | 差し引き |
| 【2017年】 | |||
| 5月 | 3銘柄 | 2銘柄 | △1銘柄 |
| 11月 | 3銘柄 | 3銘柄 | (変わらず) |
| 【2018年】 | |||
| 5月 | 4銘柄 | 3銘柄 | △1銘柄 |
| 11月 | 4銘柄 | 4銘柄 | (変わらず) |
| 【2019年】 | |||
| 5月 | 5銘柄 | 4銘柄 | △1銘柄 |
| 11月 | 4銘柄 | 3銘柄 | △1銘柄 |
| 【2020年】 | |||
| 5月 | 9銘柄 | 9銘柄 | (変わらず) |
| 11月 | 5銘柄 | 21銘柄 | ▲16銘柄 |
| 【2021年】 | |||
| 5月 | なし | 29銘柄 | ▲29銘柄 |
| 11月 | 2銘柄 | 15銘柄 | ▲13銘柄 |
| 【2022年】 | |||
| 5月 | なし | 22銘柄 | ▲22銘柄 |
| 11月 | なし | なし | (変わらず) |
| 【2023年】 | |||
| 2月 | 2銘柄 | 2銘柄 | (変わらず) |
| 5月 | 1銘柄 | 1銘柄 | (変わらず) |
| 8月 | 1銘柄 | 2銘柄 | ▲1銘柄 |
| 11月 | なし | 10銘柄 | ▲10銘柄 |
| 【2024年】 | |||
| 2月 | 1銘柄 | 8銘柄 | ▲7銘柄 |
| 5月 | 1銘柄 | 15銘柄 | ▲14銘柄 |
| 8月 | 1銘柄 | 6銘柄 | ▲5銘柄 |
| 11月 | なし | 10銘柄 | ▲10銘柄 |
| 【2025年】 | |||
| 2月 | 1銘柄 | 9銘柄 | ▲8銘柄 |
| 5月 | 2銘柄 | 2銘柄 | (変わらず) |
| 8月 | 2銘柄 | 5銘柄 | ▲3銘柄 |
| 11月 | 4銘柄 | 3銘柄 | △1銘柄 |
