TOP  NSJアップデート  インタビュー  <特別対談> 50億円稼いだ伝説のディーラーたけぞう氏×あらた鈴木洋一副会長 ~前編~
インタビュー2022年8月18日

<特別対談> 50億円稼いだ伝説のディーラーたけぞう氏×あらた鈴木洋一副会長 ~前編~

売上高1兆円へ快進撃

化粧品からペット用品まで幅広い生活必需品を取り扱う卸商社大手のあらた(2733・P)。今2023年3月期は過去最高となる売上高8,700億円、営業利益133億円を計画しており、2030年までに売上高1兆円突破を目指し快進撃が続く。飛躍の秘訣について、50億円稼いだ伝説のディーラー・たけぞう氏が、鈴木洋一副会長に直撃した。

――新型コロナによって売れ筋などは変わったのか。
マスク、衛生関連品、除菌剤などの需要は、コロナが流行し始めた一昨年や前年より下がるものの、コロナ禍以前に比べると市場自体が大きくなっている。

外出自粛やマスク着用の影響で苦戦していた化粧品の需要も戻りつつある。化粧品は、洗剤や紙製品のような生活必需品ではないが、暮らしを豊かにする付加価値を持つ商品であり、比較的高単価でもある。卸売業におけるコストの多くは物流関連費用であり、物流効率を上げる意味でも化粧品は注力していくカテゴリーである。

近年は、韓国コスメをはじめとするアジアンコスメの人気が高まっており、当社でも品ぞろえを強化し取引先さまからの評価を得ている。今後も市場の需要に応え、強みとして発揮していく。

――今、原材料費が上がり、物流価格もガソリン含め値上りしている。人件費も高くなっている。このあたりは価格転嫁などで吸収できるのか。
資源価格が上がっており、増加したコストを価格にストレートに転嫁できればいいが、消費者の買い控えなどを考えると全て転嫁するには少し時間がかかるため、うまく吸収していかなければならない。

一つ、先に述べた化粧品を強化することは、利益・コストの両面に有効である。もう一つ重要なのは、いかにコストを抑えるかであり、様々な生産性向上策を進めている。

実証実験段階ではあるが、AIにより物量と作業量を予測し、パート人員の適正な配置につなげる取り組みを実施している。また、需要を予測し適切な数量を自動発注する仕組みもAIを活用している。

物流センター内における物流機器による自動化は、生産性が改善するだけでなく、人件費高騰の観点からも重要である。

また、トラックドライバーの長時間待機の課題に対しては、「入荷予約システム」を導入している。待機時間を減らすと同時に効率的な入荷作業につなげる。

そして、配送コストを抑えるために、小売業さまに協力いただきながら発注単位の見直しなども行っている。例えば、商品1個ずつで受けていた発注単位を内箱・ケース単位に変えることで積載効率を上げ、配送頻度を下げる。

これは小売業様にとっても、発注や品出しの手間を削減できるためWin-Winの取り組みであり、提案を進めている。配送回数が減ることでガソリンの消費量やCO2排出量の削減にもつながり、環境にも貢献できる。

――今円安傾向になっているがメリットはあるのか。
為替の変動で大きく影響を受けることはない。海外ビジネスとして輸出入も行っているが、全体への影響は小さい。コロナが収束に向かえば外国人観光客が増え、円安の影響でインバウンド需要に期待が持てる点はメリットと言える。

今後の金利の上昇においては影響が出てくる可能性もある。卸売業には生産から販売までのお金の流れを円滑にする金融機能がある。今後、売上高を拡大する状況に置いて運転資金としての短期の借入金は増加し、金利が上昇すれば支払利息に影響がおきる。ただ金利上昇は想定して手を打つことができる。当社の自己資本比率は22年3月期末時点で35.4%であり、ある程度の安定性がある。また22年4月にJCR(日本格付研究所)における格付けもBBB+からA-に格付が上がり資金調達力も向上している。