コメ高騰でも中食事業黒字化へ
「食のインテグレーショングループ」であるハークスレイはこのほど、昨年6月に策定した中期経営計画の進捗状況を公表した。
2027年度を最終年度とする中計では「物流・食品加工事業」での積極投資を掲げ、食品製造・冷凍食品製造の事業領域でM&Aによる構造変革を推進している。既に、昨年12月には中華惣菜(そうざい)の製造・販売を手掛けるホソヤコーポレーション(千葉県佐倉市)を子会社化し、製造拠点や販路の相互活用といったシナジーを見込む。
「中食事業」では「大阪・関西万博」の特需の取り込み(万博出展関係者への販売および万博記念スペシャル弁当の販売など)や、料理研究家リュウジ氏とのコラボなどZ世代他顧客層の開拓や、コメ価格高騰に対応したメニューを開発し攻めの姿勢が見られる。今年4月には貸会議室・宴会場運営のティーケーピー(3479・東G)と業務提携し、大型パーティーやイベントでの需要拡大も図る。子会社・味工房スイセンがティーケーピー顧客の懇親会やパーティー会場に弁当などの製品やサービスを提供する。さらに、オペレーションの効率化や共同での新商品の開発、仕入れによりコスト最適化を目指す考えだ。
食品製造、冷凍食品製造、菓子製造、農産物・水産物・畜産物の生産・加工業との協業により事業基盤を強化・拡充するほか、新領域の事業拡大を推進。28年3月期の業績目標として売上高720億円(25年3月期実績は451億円)、純利益25億円(同12億円)、ROE(自己資本利益率)8・3%(同4・9%)などを掲げる。
併せて開示した26年3月期業績計画によると、売上高は前期比17%増の527億円、純利益は同17%減の10億円と増収減益を見込んだ。物流・食品加工事業では子会社化したホソヤコーポレーションが通期で増収に寄与。中食事業はコメを中心としたコスト上昇が利益を圧迫しているが、前期は下期に黒字で着地したことを踏まえ黒字転換を想定。不動産販売の売り上げおよび利益は不動産市場環境が見通せないため予想値に入れてない。
今期の年間配当予想は前期比2円増配の1株当たり28円とした。配当は前年を下回らない増配を継続する方針を掲げており、21日終値ベースでの配当利回りは4.7%を見込んだ。
同社は大阪・関西万博にも協賛・出展中だ。『食』の領域で生産者と消費者をつなぐインテグレーションを推進していることから、万博会場では大阪ヘルスケアパビリオン「ミライの食と文化ゾーン」にブースを出展。片手で主食・おかずを食べることができる「ワンハンドBENTO」をはじめ、唐揚げ、お好み焼き、アサイースムージーが好評を博している。