伊澤タオル(365A)が6月20日、東証スタンダードに新規上場する。
タオルのファブレスメーカー。タオルの設計や製造工程の開発を行い、主に海外の協力工場に詳細を指示することで品質を保証しつつ大量生産を可能としている。高級品や贈答品に強みを持つ今治タオルや泉州タオルと異なり、伊澤タオルは日常遣いが主力。価格と品質のバランスの良さから多くの消費者に支持されている。
売り上げ構成は、コンビニ、EC(電子商取引)事業者、ディスカウントストア、ホームセンター、スーパー、ドラッグストアなどからの要望に基づき製品の設計から製造まで行う「ODM生産」が56.6%を占める。続いて、大手玩具メーカー向けにキャラクター柄を配したタオル製品や雑貨を供給する「キャラクターIP製品」が26.5%。ECサイトのアマゾンで自社ブランド(タオル研究所)のタオル製品を販売する「EC販売」は16.9%。タオル研究所ブランドはアマゾンのタオル売れ筋ランキングで第1~3位を占める人気ぶり。
矢野経済研究所「繊維白書2025」によれば、国内のタオル市場規模は23年度で1,588億円とほぼ横ばいだが、近年は大手小売りのPB(プライベートブランド)商品は拡大傾向。EC市場も新型コロナ禍を経て、まとめ買い需要や高い利便性から拡大している。
中で同社はニーズ発掘、産学連携による共同開発、糸の織り方や新製法開発、ECサイトでの新製品販売など、研究開発や売り上げ拡大に努めてきた。また、中国経済への懸念や地政学リスクを踏まえ生産拠点の分散を図るため、中国中心の生産から、インドやベトナムでの生産体制の構築にも努めている。前25年2月期の生産地割合は中国67.8%、インド15.5%、その他16.6%だが、28年2月期までに中国40%、インド30%、その他30%を実現する方針。株主還元は、のれん償却前当期利益に対する配当性向50%を目安に行う方針。
同社は1970年に設立され、初代社長が大阪から東京へ活動の場を広げた。97年に伊澤正司氏(現社長)が二代目として経営を引き続いでからはマーケティングやタオル素材・製法研究や低コスト経営により順調に業績を伸ばしてきた。長期的な存続・発展には経営管理機能の強化が不可欠と考え、事業パートナーとしてジャフコを迎え、21年にレバレッジド・バイアウト(LBO)を実施。これによりジャフコ系2ファンドが株式の71%を保有している。(Q)
概要
●事業内容=タオル製品などの企画・製造および販売
●本社=東京都渋谷区恵比寿西1-26-6
●代表者=伊澤正司代表取締役社長
●設立=2021年6月
●上場前資本金=3,000万円
●発行済み株式数=1,000万株(上場時)
●筆頭株主=ジャフコSV6投資事業有限責任組合(上場前57.53%)
●公募株式数=なし
●売出株式数=375万株(ほかオーバーアロットメントで56万2,500株)
●仮条件=6月3日に決定
●ブックビル期間=6月4日~10日
●引受証券=三菱UFJモルガン・スタンレー、モルガン・スタンレーMUFG、SBI(共同主幹事)、SMBC日興、野村、アイザワ、岩井コスモ、東海東京、松井
業績推移(単独)
売上高 | 経常利益 | 1株利益 | 配当 | |
2024.2 | 9,938 | 1,771 | 110.31 | 65.23 |
2025.2 | 9,825 | 980 | 57.85 | 39.00 |
2026.2(予想) | 10,884 | 849 | 49.92 | 35.04 |
※単位100万円、1株利益・配当は円 |