御年90歳、恩田饒氏(写真)の「最後の株主提案」が話題を集めている。24日に開催されるSAAFHD(旧ITbookHD、1447・G)株主総会が“決戦の舞台”だ。

かつての大和証券常務でもある恩田氏と言えば、2009～21年にITbook代表取締役を務め、今夏には「人生は変えられる 時価総額を5年で100倍にした経営者の物語」の出版も予定している。その功成り名遂げた超大物OBが古巣に反旗を翻す格好で株主提案実施に踏み切って、今年で3年目となる。

23年度には、従業員の横領事件や会計処理問題発覚、東証「改善書」提出請求、金融庁課徴金納付命令など不祥事が相次ぎ、昨年度は大幅下方修正や年6円復配の撤回。そして最近も、4月末に就任2年での監査法人退任を発表するなど、問題噴出の止まらない現状に業を煮やして、とされる。

恩田氏はこれまで、自ら後任社長に指名した前俊守氏の公私混同が今日のガバナンス不全を招いたと悔いてきたが、その前氏も4月末で退任し、「前社長」となった。もっとも、副社長から昇格した松場清志新社長についても、恩田氏は「よく知っているが、経営者の器ではない」と手厳しい。

なお“意外な副産物”としては、なぜかこの異動の前後から、ネット掲示板などの「会社側の意を受けたかのような恩田氏攻撃の書き込み」が姿を消したのだそうだ。

さて、気になる票読みは…。「今年は会社側の招集通知発送に遅れることのないよう、かなり早めに株主宛ての手紙を送付した。情勢は非常に厳しいが、昨年のように賛成票が約3割止まりということもないだろう。相応に期待している」とのこと。実際、取材の途中にも株主からの問い合わせの電話が入っていた。

ただし、やはり懸念は年齢面か。14日にトランプ大統領の79歳の誕生日が注目を集めたが、既に90歳の恩田氏は「高齢が会社側の批判材料に使われていることは承知している。私は取締役名誉顧問などでアドバイスするにとどめ、実際には若い人が経営に当たることになる。株主提案した7人の取締役候補には経営経験が豊富で有能な方も多い」などとしていた。(K)