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IPO2025年8月15日

上場会見 霞ヶ関ホテルリート インバウンドで需要高まる多人数向けホテルを組み入れ

霞ヶ関ホテルリート(401A)が8月13、リート市場に上場した。初値は公開価格を3.8%上回る10万3,800円だった。霞ヶ関キャピタル(3498・P)がスポンサーのホテル特化型リート。上場セレモニーの後、代表者の佐藤正弥執行役員=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

初値の感想……公開価格の10万円を超えたというのは一定の評価をいただいているのかなと思っている。いままでにない多人数向けホテルリートという点、インバウンドの増加で収益性が上がるという点が特徴で、そこがマーケットにも受け入れられているのだろう。

成長戦略……IPO時のポートフォリオ以外にも現在1,700億円ほどパイプラインがある。竣工から一定期間が経過した後、物件を取得することで、5年後をめどにAUM(運用資産残高)3,000億円を目指していきたい。現在の資産規模492億円と、既にあるパイプライン1,700億円を合わせると2,200億円程度。開発をスポンサーが続けており、3,000億円は無理な数字ではない。

外部成長への考え方……8割程度をスポンサーの保有物件にしようと考えている。外部成長を加速するため利回り次第ではある2割程度は外部からの取得も今後考えていきたい。

ホテル市況……インバウンドは昨年が3,700万人、今年は4,000万人。2030年の6,000万人に向けどんどん上がってきている。この傾向が続けばホテルマーケットは今後伸びていこう。われわれが中心とする多人数向けホテルは不足感が強い。海外の方、特にアジアの方は4人、6人で来られる方が多い。東京には多人数ホテルはいくつかあるが、地方にはない。われわれのホテルはそういう意味で受け入れられているのかなと思う。単にベッド数が多いだけでなく、ミニキッチン、洗濯機が付いている部屋も多い。このため長期滞在のインバウンドの方に特にうけている。日本人の方も家族4人で旅行するとき、コネクティングルームにしたり、エキストラベッドの追加でスペースがなくなってしまうことが多いが、われわれのホテルは部屋30平米はあり、バンクベッド(2段に重ねられたベッド)もあるので、4人でもゆったり泊まれる。われわれの『fav(ファブ)ホテル』の認知度はこれからなので、知っていただければもっと泊っていただけるホテルになろう。

優待への考え方……1口当たり各期3,000円の優待を設けている。お盆や年末年始は優待を使えないリートもあるが、われわれは1年中いつでも使用できるようにし、優待を使いやすくしている。優待によりADR(客室平均単価)が低下するとの話もあるが、われわれの多人数ホテルは平均2万6,000円。3,000円引いてもお泊りいただくことでプラスに働こう。なお、ADR2万6,000円は業界平均に比べ若干高いが、4人で泊れば1人当たり6,000円、7,000円。その点から数人で泊るお客さまからすると安いと判断いただけよう。

今後は比較的大きな物件も増加……今後は比較的大きめ、50億円を超えるような物件は多くなってこよう。スポンサーの霞ヶ関キャピタルもはじめは実績がない中では大きなものを造れず、小粒な物件、10億円程度の物件が多かったが、実績を積み重ね、オペレーティングのノウハウも習得することで大きなものも造れるようになってきた。外部物件に関しては利回りと質の重視で、もう少し小さな物件も多くなるかもしれない。(Q)

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