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IPO2025年9月11日

新規上場紹介 ライオン事務器 10月15日 スタンダード 「オフィスまるごと提案」で差別化

ライオン事務器(423A)が10月15日、スタンダードに新規上場する。

1792年(寛政4年)に初代福井小八郎が今津屋の商号のもと、大阪の地で筆墨商として創業。現在は文具・事務用品・オフィス家具の製造・販売を柱に、オフィスの環境づくりやICT環境ソリューションへと事業を拡大している。世界約80カ国への輸出販売と、欧米・アジアからの輸入調達活動を行っており、米国、台湾と中国には子会社を持ち、現地での販売と調達活動を展開している。

近年は「オフィスまるごと提案」を推進。従来の単発的な製品販売から脱却し、電気工事やLED設置など同業他社が扱いにくい領域までを含めたワンストップソリューションの提供により、単価向上や顧客囲い込み、営業効率の改善を図っている。

また、全社横断的な販売チャネルとして、EC(電子商取引)プラットフォーム「ナビリオン」を有している。ECでの消耗品販売を入口として、顧客接点の深耕・長期化による収益拡大を目指す。社内では将来のAI活用を見据えて基幹システムの整備や営業関連システムの導入を進めており、受発注データやSAF・CRMで収集・蓄積したデータをAIで分析し、営業活動の見える化、顧客管理の強化、営業活動の支援と高度化につなげていく考え。

祖業から継続している販売店事業は、全国の文具やオフィス用品などを取り扱う販売店が主要な顧客。一部、官公庁などのユーザーに直接販売している取引もある。エンタープライズ事業は、文具・事務用品業界とは異なる業種の大手パートナーとの協業や法人ユーザーとの直接取引、介護・福祉市場、海外市場向けに商品を販売。文教事業ではGIGAスクール案件も手掛ける。

なお、筆頭株主である大塚商会(約40%保有)とは2008年に資本業務提携を締結しており、前9月期時点で売上高の13.6%、仕入高の15.0%が同社との取引によるもの。「ナビリオン」は大塚商会の通販サイト「たのめーる」の仕組みが基盤にあり、自社で取り扱う商品のほか「たのめーる」に掲載されている消耗品も多く含まれる。

今後は“幅広いソリューションによる1取引当たりの単価向上”のみではなく、“継続的な顧客接点による1顧客当たり収益の拡大”への進化を目指す。「ナビリオン」の強化・普及に加え、保守・メンテナンスなどの付加価値販売によるストックビジネスで安定した収益基盤の拡大を図る。(SS)

概要

●事業内容=文具・事務用品、オフィス家具および事務機器の製造販売、オフィス環境のデザイン・施工・内装工事、ICT機器の文教市場向けの販売、並びにeコマース
●本社=大阪府東大阪市長田中3-5-44
●代表者=髙橋俊泰代表取締役社長
●設立=1921年9月
●上場前資本金=26億7,700万円
●発行済み株式数=3,136万9,000株(上場時)
●筆頭株主=大塚商会(上場前36.85%)
●公募株式数=146万9,000株(ほかに自己株式の処分で3万1,700株)
●売出株式数=276万5,700株(ほかにオーバーアロットメントで63万9,900株)
●仮条件=9月25日に決定
●ブックビル期間=9月29日から10月3日まで
●引受証券=みずほ(主幹事)、SBI、岡三、岩井コスモ、楽天、広田、松井、マネックス、丸三、水戸

業績推移(連結)

売上収益 経常利益 1株利益 配当
2023.9 33,021 1,110 27.11 3
2024.9 34,894 1,168 25.52 3
2025.9 36,555 1,212 27.35 5
※単位100万円、1株利益・配当は円

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