信金、ノンバンクや地方自治体向けサービスも拡大へ
アイティフォー(4743・P)は情報機器を販売する会社として創業したが2000年ごろを境にソフトウエアの売り上げが逆転して社名も「ITを皆様のために」という想いを込めてアイティフォーに改めた。金融機関を中心に地域の様々な企業、自治体にITソリューションを提供し、トップシェアのサービスも多い。業績も好調で高い配当性向を維持し、さらなる成長を目指している中、6月に技術系のトップだった坂田幸司専務が新社長に就任した。現況と今後の戦略を聞いた。
――最も得意とする業務は。
「地域の金融機関や地方公共団体、地方百貨店など、地方の様々な業界に向けてITソリューションをご提供してきた。特に強いのが金融機関向けのシステムで、1983年に日本で初めて開発した延滞債権管理システムは国内の7割を超える地方銀行に採用いただいており圧倒的なシェアがある。融資の審査から債権管理、償却までの一貫したソリューションがあり保証会社、リース、クレジット、サービサーまで対応できるのが強みだ。近年は地銀の統合が増えているが、統合を契機にシステムのリニューアルなど、ビジネスチャンスになっている。また最近は信用金庫やノンバンクとの取引も増えている。信金は地銀ほど統合が進んでない中で人手不足への対応やDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進する上でシステム投資は必要だが自分たちではやりきれず、そこにチャンスがある」
――他の業務内容は。
「電話が中心だったコールセンターなどのコンタクトセンター向けにAIやロボット(RPA)などを活用した業務効率化のシステムを提供するCTIシステム。セキュリティソフトなどを扱う通信システム。ほかには流通システムとして百貨店をはじめとする小売業向けに基幹システムとEC(電子商取引)サイト構築システムの両システムを提供している。決済システムは、小売店などにキャッシュレス決済のプラットフォームや決済端末を提供する。直接端末を販売するのではなく地銀を経由というモデル。最後の公共システムは、金融機関向けシステムで蓄積したノウハウを活用して地方自治体に地方税や国民健康保険料などの督促、徴収業務を支援する滞納管理ソリューションを提供する」
――これから成長が期待できる事業は。
「全部伸ばしていくつもりだが、キャッシュレス決済は成長領域で、もっとできることがあると考える。公共部門も深刻な人手不足の中で民間委託のニーズが高まっており、BPO関連も成長していくとみる」
――パーパス(存在意義)に掲げた地方創生の意味は。
「創業以来、ITソリューションを通じて地方経済の活性化に貢献してきた。今後は当社の顧客同士をつなぐことで、それぞれの事業の幅が広がるような活動も考えている」
――CVC投資の狙いは。
「これまでは自前主義を貫いてきたがAIの発展などを見ると自分たちだけではやっぱり限界がある。会社が変わるタイミングと考えてCVC投資を24年度から始めた。実際いろんな企業と話し合いをすると刺激されることも多く、当社の成長を加速させるためには他社の力も必要と思った。これまで3社に投資したが投資リターンが目的ではなく、協業してお互いの顧客が増えて売り上げが増えればいい。投資額は3年間で30億円程度を見込んでいる」
――配当政策は。
「総還元性向70%以上、配当性向50%は最低限維持していく方針。また、年間配当も来期は今期より10円高い60円を予定している。当社は配当を下げたことはなく、これからもその方針で、株主の皆様には長期保有してもらえるよう努力していく」