TOP  NSJアップデート  IPO  IPO社長会見 ライオン事務器 「オフィスまるごと」で成長
IPO2025年10月20日

IPO社長会見 ライオン事務器 「オフィスまるごと」で成長

ライオン事務器(423A)が10月15日、東証スタンダードに新規上場した。初値は公開価格を75.5%上回る374円。文具・事務用品・オフィス家具の製造・販売を柱に、オフィスの環境づくりやICT環境ソリューションを手掛ける事務用品とオフィス家具の総合メーカー。上場当日の記者会見で髙橋俊泰代表取締役社長(写真)が語った内容のポイントは次の通り。

三度目の正直……創業は1792年、江戸時代。筆墨商として事業がスタートした。それから234年、やっと上場という一つの大きな目的を達成することができた。過去2回(1970年代と90年代)上場にチャレンジしたことがあるが、いずれも市況環境の問題や当社の業績悪化などによりかなわなかったという経緯がある。今回が3回目ということで、背水の陣で今日を迎えることができた。

大きな転機となった「大塚商会」……筆墨商でスタートし、その後文房具の製造を始め(今の原型となる)オフィス家具を製造し成長してきたが、2008年に大塚商会と資本業務提携を結んだ。私はその時大塚商会にいて、このディールについて直接担当した人間なので、その時からライオン事務器というのはよく知っていたのだが、その08年がライオン事務器にとっては一番苦しい時期だった。大塚商会との資本業務提携によって業績も少しずつ改善し、この直近3年では大きく成長することができている。大塚商会はオフィス環境を支えるICT商材などを豊富に持っているので、そこに当社のオフィス家具をセットでお客さまにPRしている。大塚商会とのシナジーは大きな業績改善の要素となっているし、これからもそれが大きく影響してくるだろう。

「オフィスまるごと」を標榜(ひょうぼう)……コロナ禍で勤務体系が変わり、出社率を100%ではなく60%や70%で設定する事務所が増えたが、最近は出社が多くなり、移転・増床の需要が増えている。また、オフィスのレイアウトが大きく変わってきており、昔のように机やイスを整然と並べるのではなく、社員のエンゲージメントを重視する傾向にある。こうした背景もあり、お客さまからオフィスをまるごとでやってほしいという要望が多い。2年前にテストマーケティングを実施したところ、予想以上に案件が多く、高い成果を出した。その部隊を新たに再編成して力を入れていく。

2027年問題、GIGA端末更新需要……それ以外にも、LED(発光ダイオード)、ネットワークを張る仕事、それから施工などを含めてオフィスの総合メーカーとして活動しているが、特にLEDについては蛍光灯の製造が終わる「2027年問題」が差し迫っている。また、ライオン事務器はもともと官公庁が得意な会社であり、文教市場においてGIGAスクール案件も手掛けている。足元ではその入れ替え需要が業績に寄与しており、26年も特需が継続する見込み。

法人開拓の入り口を担うECプラットフォーム……会計上は1つのセグメントで処理しているが、中の事業という意味では3つのユニットとプラットフォームのEC(電子商取引)ビジネス、合計4つのユニットがある。1つ目の販売店事業は弊社の祖業となるいわゆるルート営業、販売店あるいは代理店に対するメーカーとしての営業活動になる。販売店との強い絆が234年の歴史を支えてきた。2つ目はエンタープライズ事業。これは全く異業種の大手パートナーとのアライアンスによってモノを売ったり、あるいはオフィスまるごとの提案をしていく。このほか、直接法人にモノを売ったり福祉介護系のところにモノを売ったり、海外市場向けの取引もここに含まれる。3つ目は文教市場で、公立の小学校・中学校にパソコンやタブレットを売っていく。エリアとしては、関東圏と近畿圏が中心。そしてこの3つのユニットと全社の横断的な販売チャネルとなっているのがEC事業。新規口座の開拓を目的としており、小さなものを毎月取引いただくことで、いずれ来るであろうオフィス関連の案件に備えている。(SS)

関連記事