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IPO2025年11月17日

新規上場紹介 AlbaLink(アルバリンク) 12月15日 グロース 「訳アリ物件」の買取再販

AlbaLink(5537)が12月15日、グロースに新規上場する。TOKYO PRO Marketからのくら替えで、12月14日付で同市場は上場廃止予定。

法律的瑕疵(かし)・物理的瑕疵・環境的瑕疵・心理的瑕疵を負う、いわゆる「訳アリ物件」を中心とした様々な不動産の買取再販事業を展開。これら物件は一般の事業者からは買い取りを敬遠される場合が多いが、同社は独自のノウハウや提携している不動産に精通した弁護士にも協力を仰ぎながら、対象物件を活用できる不動産投資家や同業他社、一般消費者へマッチングし販売することで、空き家問題の解決に貢献している。

自社のWEBメディアを活用したマーケティング力が強み。これにより地域に限定されず、全国を対象とした効率的な営業活動および仕入れエリアの拡大を図ることが可能となっている。マーケティング活動は大きく分けてマスメディア、WEB、オフライン、自治体提携の4つ。このうちWEBマーケティングは仕入れに関するリードの増加および販売に関する問い合わせの増加を目的に5つのWEBメディアを運営。また、自治体提携については最終的に日本全国1718自治体と連携していくことを目標としており、まずは2026年内に100地域の自治体と連携協定を結ぶことを目指す。

これらのマーケティング活動を通じて物件売却を検討している顧客からの問い合わせを受けた後、同社の営業担当者が物件の状況、瑕疵、登記情報などを回収し査定を実施。顧客と売買契約を締結した後、弁護士や必要に応じてリフォーム業者に業務を依頼する。再生した空き家・訳あり不動産の大半は「セミプロ」と呼ばれる個人投資家に引き継がれ、賃貸用物件などとして再度活用されるといった流れ。

販売取引の特徴として、「第三者のためにする契約」(三為取引)を利用して販売するケースが多い点が挙げられる。これは売り主と同社、買い主との間でそれぞれ不動産売買契約を締結し、売り主から買い主へ直接所有権移転登記を行うスキームで、登記申請から登記完了までのタイムラグが生じず、仕入れから販売までの期間を短縮できる。同時に、登記に係る登録免許税や司法書士報酬を削減することでコスト低減および収益率の向上に寄与している。

地価や建物の状態などから通常の買い取りが困難な物件もあり、こうした物件の一部については所有不動産の管理負担を回避するため、一定の費用負担が発生しても処分を希望する売り主ニーズが存在する。その際にはコンサルティング契約を締結し、物件処分の可能性についての情報提供および助言を行ったり、中には同社が買い主として当該不動産を買い受けるケースもある。

成長戦略は①全国のリード数増加のためのマーケティング強化②支店出店の加速③新たな販売先の開拓④空き家の活用方法の創出⑤AI・DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用・推進――。仕入れ面では、WEBなどによる情報収集を一層強化するほか、地域に根差した事業活動や広告を通して知名度を高めるとともに、情報源である同業者、各金融機関との関係を強化していく。(SS)

概要

●事業内容=流動性が低下している不動産の買取再販事業およびコンサルティングなどの不動産関連事業
●本社=東京都江東区木場2-17-16
●代表者=河田憲二代表取締役
●設立=2011年1月
●上場前資本金=4,849万円
●発行済み株式数=818万3,200株(上場時)
●筆頭株主=河田憲二(上場前77.13%)
●公募株式数=5万株
●売出株式数=167万1,000株(ほかにオーバーアロットメントで25万8,100株)
●仮条件=11月27日に決定
●ブックビル期間=11月28日から12月3日まで
●引受証券=野村(主幹事)、SMBC日興、三菱UFJモルガン・スタンレー、ちばぎん、SBI、松井

業績推移(単独)

売上高 経常利益 1株利益 配当
2023.12 2,995 398 35.32
2024.12 5,440 521 47.28
2025.12 8,232 1,216 104.94
※単位100万円、1株利益は円

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