日本は産業用途で導入進む
AIアシスタントを搭載し、検索・翻訳・ナビゲーションなどを音声やジェスチャーで実行するAIグラスが、次世代デバイスとして世界的に注目度を高めています。米国では、MetaがRay-Banと共同開発したシリーズが好調で、直営店の最前列を占めるなど、既存ウェアラブル市場を置き換える可能性が意識され始めています。同社は小型ヘッドアップディスプレイ搭載の新型「Meta Ray-Ban Display」も発表し、ハードとAI基盤の両面でエコシステム拡張を急いでいます。
一方、日本市場には依然として大きな空白があります。Meta製品は2025年11月時点で正規販売がなく、主要機能も日本語に最適化されていません。グローバルで量産効果が進む中、日本のみが制度・ローカライズの遅れからアクセス不能な状態に置かれており、コンシューマー市場形成は大きく後ずれしています。これは、国内AIグラス関連銘柄の評価が海外トレンドと乖離する要因にもなっています。
もっとも、産業用途では追い風が明確です。メタリアル(6182・G)は翻訳AIを軸に現場支援領域での導入を進め、日本電気硝子(5214・P)は高付加価値の光学部材で需要を取り込みつつあります。セイコーエプソン(6724・P)、QDレーザ(6613・G)も技能継承やレーザー光学といった構造的ニーズを背景に存在感を強めています。AIグラスは、現実空間の情報をAIが処理し提示する「フィジカルAI」の中核インターフェースとなり得るため、光学ガラス、センサー、AR(拡張現実)/MR(複合現実)、素材など複数セクターに波及する余地があります。
海外製品の日本上陸が進み、エコシステムが整えば、関連銘柄の再評価余地は大きいと考えています。国際トレンドとの乖離がどの局面で縮小するのか、その転換点に注目しています。
タレント、リポーター、モデル。ホリプロアナウンス室所属。明るく誠実でファッショナブルなキャラクターでTVやラジオ、CMなどで活躍。
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