三菱UFJアセットマネジメント、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、三菱UFJ信託銀行の3社は、Progmat, Inc.とともに、本邦初となるトークン化投資信託の開発を目指し、まずは「トークン化マネー・マネージメント・ファンド(TMMF)」の基盤整備に関する協業を開始すると発表した。トークン化は、従来の金融商品や決済手段などを電子情報処理組織(ブロックチェーンなど)上で移転可能な財産的価値として表象する行為を指す。また、マネー・マネージメント・ファンドは、株式を組み入れず、国債や社債など信用度の高い短期金融商品で運用する公社債投資信託の一種。

発表によると、海外では、多くの金融商品がトークン化されており、トークン化金融商品の市場は拡大を続けている。中でも、海外におけるマネー・マーケット・ファンドは既に85億ドル(約1.3兆円)超規模に達し、デジタル資産市場の中核的な存在の一つ。 日本でも、不動産や社債でセキュリティトークン(ST)化した金融商品が誕生しており、今後の市場の拡大が期待される。円建てのマネー・マネージメント・ファンド(MMF)は、これまでマイナス金利政策の影響などで国内市場から姿を消すことになった。Progmatが事務局を務めるデジタルアセット共創コンソーシアムにおける「オンチェーン完結型ST WG報告書」の整理結果も踏まえると金利のある世界に戻りつつある昨今、国内でもMMFは資金効率を重視する投資家にとって有力な選択肢となり得る、としている。今後の投資家の需要の高まりなどを見越して、迅速に対応ができる体制を構築することを目的に、TMMF基盤整備のための協業を開始する。

2026年に日本で初めてとなる円建てTMMFの機関投資家向けの提供を目指し準備を進める方針。将来的には、個人投資家向けなど、提供先や商品ラインアップの段階的な拡充なども検討する。 また、近年では、国内外でステーブルコイン(SC)の発行・流通の機運が高まっている。SCは、法定通貨に価値を連動させることで価格変動リスクを抑え、ブロックチェーン上での即時決済を可能にする仕組みである一方、「直接的な付利がない」という構造的な制約があるため、資産運用の観点では他のトークン化アセットとの連携が鍵となるとしている。投資信託をトークン化し、SCとシームレスに移動・交換を可能にすることで、提供価値の向上が見込める。