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IPO2025年12月22日

IPO社長会見 辻・本郷ITコンサルティング DXを軸に包括的な支援を提供

辻・本郷ITコンサルティング(476A)が19日、東証スタンダードに新規上場した。初値は公開価格を公開価格を61%上回る2,980円。専門家チームによるITコンサルティングが主軸。上場当日の記者会見で黒仁田健代表取締役(写真)が語った内容のポイントは次の通り。

企業と会計事務所、双方の課題解決が必要

企業経営やバックオフィス部門の課題をワンストップで解決するDX(デジタルトランスフォーメーション)パートナーを目指している。具体的にはコンサルティング、テクノロジー、オペレーションの3つのドメインを核に事業を展開。中堅・中小の企業だけでなく、会計事務所の課題も解決する。私自身税理士であり、長年の業務の中で経営者の方たちから中堅中小企業の経営課題について多くの相談があった。ありがたいと感じる一方、専門外の相談事をされてもなかなか応えられなかったり、どこにつなげれば良いか分からないなど、会計事務所側の課題も感じた。中堅・中小企業の課題を解決するためには会計事務所の課題も併せて解決しなければならないと考え、現在のビジネスモデルを立ち上げた。

M&Aを通じた成長

2012年5月の設立から20年までを第一創業期としているが、ここでは主にグループ内のシステム開発・保守や会計ソフトの販売を主軸にしていた。私が代表となった21年はコロナ禍でデジタル化が求められたことに加え、電子帳簿保存法やインボイスといった法令改正のタイミングでもあり、ニーズの高まりを受けてコンサルティング事業を開始した。翌22年は相続のクラウドサービスを手掛けていたベター社と合併し、テクノロジー事業を拡張。さらに23年9月に辻本郷グループ内のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業譲受によりオペレーション事業を拡張、昨年9月にはセールスマーケティングのコロニーインタラクティブ社を100%子会社化するなど、M&Aを通じて機能面と人材の拡充を進めてきた。今後のM&Aについては2つの軸で考えており、一つはコンサルティングやオペレーションといった人が財産となる部分、優秀な専門人材の拡大を目的としたもの、もう一つが機能面の拡張であり、中でも生成AIやサイバーセキュリティでM&Aの案件があればそこは積極的に取り組んでいきたい。

3つの強み

①士業エコシステム②一気通貫の支援体制③強固なグループ基盤ネットワーク活用――が強み。①では士業が安心してつなげる先ということを意識しながら事業を展開しており、これによって当社自身が営業人員を持たなくても、士業の方たちが困っている課題を当社の方にトスアップしていただくことで案件をつくっている。現在は約60事務所と連携しているが、ここの数を増やしていきたい。また、辻本郷税理士法人は会計事務所の中では国内最大手と言われている。同じグループではあるが、ここの案件化に注力し始めたのは前期からでまだやり切れていないところもある。まずは足元にある辻本郷グループの案件を多く創出していきたい。

伊藤忠グループとのシナジー

③では、辻本郷グループと伊藤忠商事グループの基盤とネットワーク活用によってより強固なサービスを提供していきたいと考えている。伊藤忠グループでは、例えばテクノロジーやIT関係ではCTC(伊藤忠テクノソリューションズ)、オペレーションのところであればベルシステム24、コンサルであればシグマクシスとったところと連携しながら供給力を拡大している。また、顧客接点拡充の点で、伊藤忠商事と組むことによって中堅企業の中でも大企業のグループ会社、大企業の管理部門にも領域を拡大できる。

成長戦略

成長戦略は機能軸と顧客接点軸から考えており、機能軸では3つドメインの中のサービス、特に高い成長が期待できる生成AIとサイバーセキュリティについて拡張していく。顧客接点面ではバックオフィス、例えば管理部門の経理や人事といった部分に当社は強いのでそこを拡充していく。併せて、業種ごとでも課題が異なるので、業種ごとのソリューションというのも今後設けていきたいと考えている。また、足元では士業向けプラットフォームサービスのβ版を開発中。プラットフォーム上で士業から案件をつないでもらうほか、士業が必要な機能の搭載なども検討している。(SS)

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