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IPO2025年12月23日

IPO社長会見 スタートライン 障害者雇用ニーズを全て受け止められる唯一の企業

スタートライン(477A)が22日、東証グロースに上場した。初値は公開価格を94.7%上回る935円。同社は障害者雇用支援・就労支援のパイオニア。上場当日の記者会見で西村賢治代表取締役社長(写真)が語った内容のポイントは次の通り。

障害者の就労をワンストップで支援

「日本の障害者雇用を変える」との思いから2009年に創業。企業と契約し、企業の障害者雇用の課題解決と同時に、障害のある方の働く選択肢を増やすことを事業として取り組んでいる。具体的には、サポート付きのシェアスペースの拠点を展開し、オフィス系業務、屋内農園型、ロースタリー(焙煎=ばいせん=所)型とサービスラインアップを増やしてきた。現在2,359人の障害者を支援し、345社と取引。社員数は469人で専門職も多い。

発達障害・精神障害の支援ノウハウが強み

14年に研究開発機関を発足。発達障害や精神障害の方々を支援するにはホスピタリティ精神だけでは不十分という観点から研究所を設け、10年以上、研究と実践を積み重ねてきた。これが大きな強みの一つ。また、研究や実践で積み重ねてきたものをツール化、体系化し、支援員を育成する体制基盤をつくっている。これらによりサービス品質の標準化、高品質な支援が担保され、支持を得ている。

ミスマッチをなくす

精神障害、特に認知障害の方が増える一方、企業側は雇用意欲はあるものの、支援・雇用ノウハウが不足し、適切な業務を創出できないという課題がある。中で当社は障害当事者と企業の双方にミートするような提案ができる唯一無二の会社。例えば、うつ病という診断名でも人によって特性や症状は異なる。環境的配慮や合理的配慮、支援計画、適した仕事が変わり、個々に対応しなければいけない。そのノウハウに困っている会社が多く、ミスマッチを無くしていきたい。

ストック型ビジネスモデル

シェアスペース拠点を出店し、利用企業で満床になり、固定額が入り続けるストック型ビジネス。アップセルのほか、複数のサービスラインアップを有することからクロスセルも徐々に増えている。ストック比率は上昇傾向にあり、現在66%。業績は創業以来、増収を継続。22年3月期は出店コストを吸収できず営業赤字だが、それ以降は出店してもしっかりと利益を出せる体質になっている。今26年3月期は営業利益率も向上、スケールメリットを生かせるフェーズに入る。

出店数拡大へ

拠点は現在48カ所。まだ関東、関西、新潟(三条市)にしか出店していない。最近はロースタリー型への引き合いが非常に強く、これを皮切りに東海、九州、北海道、東北と全国に広げていきたい。サービスラインアップのさらなる拡充も図る。出店数は23年3月期~25年3月期は年3~5拠点程度だった。今26年3月期は上期4拠点、下期3拠点とアクセルを踏み始めている。来期、再来期は出店エリアと出店数を今期以上に伸ばしたい。

上場の目的

成長のボトルネックとみていた出店のオペレーションと支援員の育成は基盤整備により一定程度解決した。残るは財務体質(資金調達手段の多様化)と社会的信用力。専業上場は当社が初めてだが、関連上場会社が2社あり、信用面で負けていたところがある。残り2つはIPOを通して解決、これからさらに劇的に成長させることができる。

業界PERを引き上げるポジションに

グロース市場の新たな上場維持基準(30年3月から上場5年経過後から時価総額100億円以上)に関しては、仮に現在の業界PER(10~十数倍)でもしっかりミートさせていく。単一サービスを展開する関連上場会社に業績水準は負けているが、今後を見据えれば様々なニーズに応えられるわれわれの存在価値は高まってくるのではないか。既存の上場他社は専業でないため他事業の影響も多分に受けていると思われ、むしろ当社が業界のPERを引き上げていけるようなポジションになっていきたい。(Q)

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