PRONI(479A)が24日、東証グロースに新規上場した。初値は公開価格を7.1%上回る1,875円。中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を支援するBtoBマッチングプラットフォーム「PRONIアイミツ」を運営。上場当日の記者会見で柴田大介代表取締役CEO=写真=が語った内容のポイントは次の通り。
中小企業のDXは始まったばかり
実際にDX化に取り組めている中小企業はわずか19%。残りの81%はIT・DX推進にかかわる人材が足りない、何から始めていいか分からないということでDX化が行えていない。その多くが「社内に詳しい人間がいない」ことが大きな課題となっている。PRONIはこのギャップを解消してDX推進をサポートする。発注企業はわれわれのサイト上で相手を見つけることもできるし、専任部隊であるDXコンシェルジュがヒアリングをし、経営課題を発注案件に変える。そのヒアリングデータをわれわれのシステムマッチングに入れて適切な受注企業を紹介するといった仕組み。発注したい企業は完全無料で利用でき、われわれは受注したい企業から紹介に応じた料金を頂戴している。今年からマッチングのシステムを外部のパートナーにも提供しているので、われわれのリーチが届かない発注者のところにも利用が広がるようになった。領域特化型のプラットフォームはいくつかあるが、その中でもわれわれの特徴はカテゴリの範囲が広く総合型、IT全般でできていることだと思っている。総合型でやっているサイトはわれわれが知る限りでは他になく、潜在的な発注案件を獲得できる優位性が高い。今後、他社が総合型のプラットフォームを手掛けに来ると思うが、1カテゴリを広げるのもなかなか大変な作業であり、われわれは一定の参入障壁を築けている。また、コンシェルジュという人の力の介在によって潜在的な経営課題と発注ニーズを捕捉できる点も強みだ。
膨大な会員基盤とマッチング実績
スタートアップの中では比較的長く、同じBtoBの受発注の領域のみで13年間事業を運営している。結果として過去にご利用いただいた発注者の会員数が既に24万社、過去にわれわれのサービスを通じてマッチングいただいた件数は64万件に上る。会員基盤と過去のマッチングの実績をもとに膨大なデータがあるので、現在はそこにAIを使ってより最適な発注先を探せるマッチングシステムとして提供している。売り上げの80%がリカーリング売り上げだが、これはマッチング課金のうち月間10万円以上、毎月安定して6カ月間使っていただいている受注者のこと。高額帯の定着率と継続性が非常に高い属性であることが分かっている。
利益回収フェーズへ
料金体系はマッチング課金、月額課金、その他課金の3つ。2023年度からDX領域の注力に舵を切ったことで、以降は売り上げ、マッチング成立数とも順調に伸ばすことができている。成立数は3Q(1~9月)までの累計で前期の通年の数字を超過。営業利益も昨年度までは投資フェーズだったが、今期から利益回収フェーズに入った。売り上げは受注企業のARPU(1ユーザー当たりの平均売上高)×課金の受注企業数で決まる。われわれのサービス自体は登録費用とかは頂戴していないので、受注企業数が単純に増えたからと言って売り上げが上がるというものではない。そういった意味で、課金の受注企業数を追うというよりは、満足いただいて使っていただく企業数を増やすことが肝になる。少なくとも(1社当たり)月に10万円は使っていただきたいという考えで進めてきたが、直近に関しては月次で50万円以上使っていただけるような受注者さま、さらには200万円以上使っていただけるような受注者さまも増えている。受注企業のARPUを上げるには提供するマッチング数と単価を上げる必要があるが、単価に関してはわれわれとしてもかなりこの1~2年間で工夫してきており、例えば、通常の紹介のみであれば2万円しか頂戴しないのだが、商談のセットまでわれわれが行うことによってその単価を5万~10万円に上げさせてもらう。受注者側にとっても商談率が100%となって満足度が上がる、もしくは従業員数が100名以上の発注者であればさらに単価を払うといった形で、プライシングを変えることで単価を伸ばすことができている。
AI戦略
AIによる既存業務の最大化、またマッチング領域としてのAI、将来的にはAIプロダクトの提供(新領域の開拓)によってさらなる成長を追求する。今年1月にローンチしたAIサービス比較総合ポータルサイト「AI最強ナビ」はこの一年近くでサイト来訪者数、問い合わせなどが順調に伸びており、手応えを感じている。われわれは総合型として運営しているが、その中でもSaaSやAIなど需要が強くなっていくジャンルについては、こうして別サイトとして切り出すことによってより提供できるものが変わってくる。(SS)
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