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銘柄・相場情報2025年12月30日

【速報版】本紙厳選 有望テーマと注目銘柄ピックアップ

<フュージョンエネルギー> 技術力高い部品系企業に勝機

①茨城県那珂市にある世界最大のトカマク型超伝導プラズマ実験装置「JT-60SA」 出典:文部科学省ホームページ (https://www.mext.go.jp/)

「強い経済」の実現に向けて政府が選定した17の重点戦略分野の一つが核融合。経済安全保障上の重要性が高い「国家戦略技術」、また、日米両政府が連携する科学技術7分野にも指定されており、この先手厚い支援が見込まれる。政府が目指すのは、フュージョンエネルギーと呼ばれる核融合発電の早期実用化と産業化だ。2025年6月に改訂した「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」の中では“世界に先駆けた30年代の発電実証”を目指す方針を示しており、総額1,000億円超を投じるとの話も聞かれる。

国内では安全制度の設計に向けた議論が進められており、26年3月までに論点がまとめられる見通し。足元ではアカデミアと民間の連携によるプロジェクトが複数進行中で、いずれも着実に成果を上げつつある。ここへきては米国政府が核融合エネルギーの商用化にアクセルを踏む動きもあり、引き続き関連株が注目されそうだ。

トップピックは温度制御・計測技術に優れた助川電気工業(7711・S)。日欧共同プロジェクト装置(写真①)の容器内センサとプラズマ対向機器の組み立て、液体金属技術では量子科学技術研究開発機構(QST)六ヶ所フュージョンエネルギー研究所へのリチウム純化系実証試験装置の提供実績などがある。なお、直近で核融合発電ベンチャーのヘリカルフュージョン社がアオキスーパーと日本初のフュージョンエネルギーによる電力売買契約を結び話題となったが、助川電機は液体金属ブランケット試験装置の提供で同社に協力している。

②レアアース系高温超電導線材

次点はフジクラ(5803・P)。核融合発電向けに高い電流特性と高強度を実現するレアアース系高温超電導線材(写真②)の量産技術を確立しており、現在は増産投資を進めている。核融合炉開発で先行する米コモンウェルス・フュージョン・システムズや前述のヘリカルフュージョン社に提供しているほか、英国政府機関から高温超電導線材の供給社にも選定された。

このほか、レーザー核融合炉で阪大発スタートアップと共同実験に取り組む浜松ホトニクス(6965・P)、レーザー核融合の重要パーツを開発した日本電気硝子(5214・P)、核融合炉に欠かせない高出力レーザー用の透明セラミックスを製造する神島化学工業(4026・S)なども注目。(SS)

<フィジカルAI> 国内外の提携で社会実装へ

生成AIが大ブームとなった2025年から、26年はAIがロボットや機械を自律的に制御する「フィジカルAI」が本格化するとみられる。AIがインフラ整備やソフトの発展などの状態から、いよいよ本格的に社会実装されるフェーズに入るというわけだ。

米国や中国が先行する中、日本政府も12月19日のAI基本計画案を策定。高市早苗首相はAIロボットを始めとしたフィジカルAIに不可欠な信頼できる国産の汎用基盤モデルの開発を、官民共同で進めるよう指示した。これを受けて、政府は5年で1兆円を支援を計画。ソフトバンク(9434・P)を中心にした新会社設立も報じられている。

そのソフトバンクは12月に安川電機(6506・P)と「フィジカルAI」の社会実装に向けた協業で合意。国内企業ではNTT(9432・P)さくらインターネット(3778・P)も非上場企業との提携を進めている。

海外勢とはファナック(6954・P)富士通(6702・P)、安川電機が米エヌビディアとの協力体制を進めている。また、ソフトバンクグループ(9984・P)も各国のAI企業への投資を進めている。

このほか、日立(6501・P)オムロン(6645・P)トヨタ自動車(7203・P)などそうそうたる大企業がフィジカルAIに取り込んでいる。12月に東京で開かれた国際ロボット展でも多くの企業が注目された。(HS)

<空飛ぶ基地局> ソフトバンクとNTT、“日本初”を制するのは

人工衛星や無人航空機などを活用し、上空20キロメートルの成層圏から広域な無線通信サービスを提供する「空飛ぶ基地局」(HAPS=ハップス、写真)が2026年にも実用化される。低軌道衛星と市販スマートフォンが直接通信する「スマホ衛星通信」も26年に本格化する見通しだが、上空数百キロメートルを飛ぶ低軌道衛星に比べて地上との距離が近い分、HAPSの方が通信速度が速いとされる。政府も25年度内の制度整備に動き始めた。

“日本初HAPS商用化”の地位を争っているのがソフトバンク(9434・P)NTT(9432・P)。ソフトバンクは17年から自社で飛行機型のHAPS(写真)の開発を進めていたが、25年6月に飛行船型を手掛ける米Sceye(スカイ)社に出資し、日本国内で独占的にサービスを提供する方針を打ち出した。同機体は空気より軽いヘリウムの浮力で上昇し、長時間滞空することが可能。26年中に日本国内でプレ商用サービスを開始予定としている。

これに対し、NTTはスカパーJSATHD(9412・P)との合弁会社であるスペースコンパス社と、エアバス子会社のAALTO社とグライダー型のHAPS開発に取り組んでいる。25年6月に地上約18キロメートル以上を飛ぶHAPS機体と携帯電話機との世界初のデータ通信に成功しており、こちらも26年に国内で商用サービスを開始する方針を示している。(SS)

<国際スポーツ> 日本選手活躍で株価上昇へ

2026年は国際的なスポーツイベントが相次ぐ。過去、日本勢が活躍すれば日経平均株価も上昇するアノマリーもあり、関連銘柄にも追い風となりそうだ。

2月6日にイタリアでミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪が開催される。女子の坂本花織選手を擁するフィギュアスケートをはじめスピードスケート、スノーボード、スキー・ジャンプなど多くの種目での活躍が注目される。

3月5日に野球のワールド・ベースボール・クラシックが開幕。日本はオーストラリア、韓国、チェコ、台湾と同じC組に入り、初戦は同6日の台湾戦。大谷翔平選手や山本由伸選手らメジャーリーガーも侍ジャパン入り。好成績が見込める。

6月11日には、アメリカ、カナダ、メキシコでサッカーのワールドカップが開幕。8大会連続出場の日本は優勝を目標に掲げる。1次リーグはF組に入り、オランダ、チュニジア、欧州プレーオフの勝者(ウクライナ、スウェーデン、ポーランド、アルバニアのいずれか)と同じ組。初戦は同14日のオランダ戦。

関連銘柄はミズノ(8022・P)アシックス(7936・P)などのスポーツメーカーのほか、スポーツゲームが強いコナミG(9766・P)、大谷選手(写真)をアンバサダーに起用する伊藤園(2593・P)などのスポンサー企業など。WBC中継がネットフリックス独占となるため、ハブ(3030・S)での観戦客が集まる可能性も。(HS)

<サイバーセキュリティ> 官民挙げての対策急務

2025年も多くの日本企業がサイバー攻撃の被害に遭った。アサヒGHD(2502・P)アスクル(2678・P)は、ランサムウェア攻撃を受けてシステムがダウン、莫大な損害を被っている。26年も引き続き日本企業が標的となりそうだ。

サイバーセキュリティ大手のトレンドマイクロ(4704・P)によると、業種、規模にかかわらず攻撃の対象となっており、自社のみならずデータの管理や作業の委託先が攻撃を受けて二次被害を被るケースや、サプライチェーンそのものが打撃を受けるケースもでている。さらにAIを悪用するケースも増えているなど、新たな攻撃手法も出てきている。

高市早苗首相は官民挙げての対策を強調しており、政府のサイバーセキュリティ戦略では7月に新設された国家サイバー統括室に情報を集約するとともに、攻撃の兆候を事前に検知して無害化する能動的サイバー防御も掲げている。

12月には国内のセキュリティ企業が連携して「日本サイバーセキュリティ産業振興コミュニティ」も設立。国産技術の底上げを図る。

高市首相誕生後にはFFRIセキュリティ(3692・G)サイバーセキュリティクラウド(4493・G)など一部のセキュリティ銘柄が急騰したが、その後、調整している。しかし、中長期的な需要が見込まれる業界であり、引き続きマークしていきたい業界だ。(HS)

※速報版は最終的な校了前の紙面記事です。今後、修正等が入る場合があります。