養命酒製造(2540・P)が一気に上放れ、一時ストップ高(700円高の5,500円)。権利落ち換算ベースで1989年以来の高値水準となった。

「非公開化に向けた入札で米投資会社のKKRが優先交渉権を得た」「買収価格などの条件を詰め、1月にもTOB(株式公開買い付け)を実施する方向で調整」などとするブルームバーグ報道を受けた動きだ。

もっとも、非公開化への動きはかねて観測されてきた。そもそもの発端は、長らく養命酒の筆頭株主だった大正製薬のMBO(経営陣の参加する企業買収)実施にある。これに伴い保有全株式を村上世彰氏の娘婿、野村幸弘氏の関連企業(湯沢)に売却したためだ。湯沢が大量保有報告書を提出した今年3月28日の終値2,815円から94.6%高したことになる。

もちろん養命酒との水面下のやり取りなどは不明だが、近年は、先のホギメディカルをはじめアクティビストの株式大量取得が結果的に株式非公開化につながる例が散見される。「次の候補」視されるのは太陽HD(4626・P)だが、他にもアクティビストの要求を受けている銘柄には栄研化学や三陽商会などがある。思惑ベースでのタカラバイオ、ニコンあたりも含めて注目されることになりそうだ。(K)