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銘柄・相場情報2026年1月16日

企業研究 ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(6090・東証スタンダード) 上場来12期連続増収、「配当」実施するバイオ・ベンチャー

年率10%成長市場のグローバル・ニッチ・トップ

【事業内容】メタボローム解析を支援
▼メタボローム解析とは?
メタボロームとは代謝物質の総称だ。食事を分解して栄養からエネルギーを生産するといった、人間や動植物などの生体内で物質を変化させる様々な化学反応のことを代謝(メタボリズム)と言い、作り出される代謝物資を分析するのがメタボローム解析だ。

メタボロームは膨大な数が存在するため、例えば「健康診断」では、特定のメタボロームの数値だけを拾って閾値と比較する。一方、同社が手掛けるのは「網羅」解析。クライアント企業から提供された検体の中にある代謝物を全て拾い、ある病気の症状がある人とない人との差を可視化する、といった使われ方をしている。

同社のメタボローム解析は、主に次の3領域へ提供されている。

領域①ライフサイエンス支援
生体内の状態を客観的に評価する指標「バイオマーカー」の探索を支援している。痛風の患者は尿酸値が高いなどの指標を導き出して、疾患の有無や進行状態を示すことを支援している。

ちなみに同社のメタボローム網羅性は世界トップレベル。ゆえに日本のみならず欧米のグローバル企業にもサービスを提供している。

領域②機能性素材開発支援
2015年に消費者庁が始めた「機能性表示食品」制度。市場は現在も拡大の一途をたどり、製薬のみならず食品や化粧品など各種メーカーは収益性の高い新素材の開発を強化している。

領域③バイオモノづくり支援
25年7月から開始したサービス。プラスチックなどこれまで石油由来の物質を微生物由来に変えるといったクライアントの取り組みを支援している。

24年4月には納豆菌をタンパク質の代替物とするスタートアップのフェルメクテスと資本業務提携を締結した。量産化による採算性向上を目指して培養条件などのシミュレーションをメタボローム解析で行っている。

同社と同じく山形県鶴岡市に本社を置く、環境負荷の小さいバイオ繊維を手掛けるSpiberにも支援をしており、国内製薬大手の第一三共(4568・P)とも25年9月より抗体医薬の生産性向上のための取り組みに着手するなど、引き合いは多い。

【市場規模】年10%成長・世界1600億円へ
メタボローム解析サービスの市場は、23年に5.3億米ドル・約800億円と言われ、30年まで10%成長が続くことが見込まれている。欧米が大半を占めており、日本については23年の段階で約40億円にとどまるものの、30年には80億円と倍増することが見込まれている。ちなみに同社は国内シェアの過半を占める。

【成長戦略】100兆円市場「国策」に乗る
政府が24年に策定した「バイオエコノミー戦略」。30年に世界最先端のバイオエコノミー社会を実現するべく100兆円規模の市場を創出することなどが目標に掲げられており、この中で同社が得意とする「バイオものづくり」「バイオ医薬品・再生医療など」が重点市場としてピックアップされている。ちなみに100兆円は現在でいうところの半導体と同水準の規模感であり、そんな巨大市場が今後5年間で誕生するといったスピード感ある環境に、同社は身を置いている。

実装化フェーズに入ったAIの台頭も追い風だ。従来技術と掛け合わせることで生産性と収益性の飛躍的な向上が期待される。

【株主還元】増配&自社株買いなど“積極的”
赤字が常態化しているバイオ・ベンチャーではめずらしい「配当」を実施するなど、株主還元には非常に意欲的な姿勢を見せている。

13年の上場以来12期連続で増収、21年6月期には黒字化を達成するなど業績好調で、23年6月期から配当を実施した。今26年6月期は年間18円と、前期実績15円からの増配も計画している。

前期は自社株買いも実施した。発行済み株式総数の5.1%に当たる30万株を、2月から11月にかけて2億1,700万円で取得している。

同社のROE(自己資本利益率)は24年6月期が13.5%、25年6月期13.6%と一定水準を維持しているものの、会社側は中期的な目標として「15%以上」を掲げている。分子となる利益を引き上げつつ、分母にあたる株主資本の適正化については引き続き積極的に取り組むことが期待されている。

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