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銘柄・相場情報2026年3月10日

【速報版】企業研究 大阪有機化学工業(4187・P) グローバル展開を加速する特殊アクリル酸エステルのリーディングカンパニー

最先端半導体製造に欠かせない電子材料に強み

【主力3事業の業績】
2025年11月期の業績は化成品、電子材料、機能化学品の主力3事業とも堅調で、売上高は362億6,500万円(対前年同期比10.9%増)、営業利益は61億8,700万円(同34.2%増)となった。
①化成品事業。アクリル酸エステルグループは、自動車用塗料向けの販売は回復傾向となり、ディスプレイ用粘着剤向けやUVインクジェット用インク向けの販売が好調だったもののメタクリル酸エステルグループは、販売が苦戦。部門の売上高は133億2,600万円(同6.5%増)、営業利益は21億9,700万円(同11.1%増)となった。

②電子材料事業。半導体材料グループは、最先端のEUVレジスト用原料の販売は減少したものの主力であるArFレジスト用原料の販売が回復し、グループ全体の売上高は大幅に増加。表示材料グループは、タッチパネル用絶縁膜向けの販売は堅調だった。グループ全体の売上高は横ばいで推移。その他グループの販売は増加した。この結果、売上高は166億7,600万円(同16.0%増)、営業利益は27億7,900万円(同48.7%増)

③機能化学品事業。化粧品原料グループは、販売が横ばいで推移したものの機能材料グループは堅調。子会社の高純度特殊溶剤の販売は堅調だった。この結果、売上高は62億6,300万円(同7.8%増)、営業利益は12億3,300万円(同59.9%増)

【中期経営計画(P&D2030)と設備投資】
AIの普及や高性能デバイスの需要拡大を背景に半導体市場は今後も成長が期待されており、微細化、高集積化に対応する材料の開発と安定供給の重要となっている。 そこで中期経営計画「P&D2030」に基づき、中量実験室の建設や約80億円を投じた生産設備の稼働を通じて、研究開発や生産体制の強化に取り組んできた。26年稼働予定の中量実験室では、先端材料であるEUVレジスト用モノマーの試作フェーズにおける評価・検証サイクルを高速化し、スムーズなスケールアップにつなげることで、シームレスな生産体制を構築し、ユーザーの先端半導体材料の迅速な開発に貢献。さらに今年着工する酒田工場での新規製造プラント建設を含む設備計画では、生産能力のさらなる拡充と高純度化技術の向上を進め、市場シェアの拡大と事業発展を目指す。完成は28年で総投資額は100億円を見込む。金沢工場と酒田工場の2拠点体制によりBCP(事業継続計画)を強化し、安定かつ持続可能な供給体制を構築する。

【海外戦略】
中期経営計画の基本戦略の一つとして掲げられているのが海外戦略の強化。これまで上海や韓国に販売 拠点を設置し、アジア市場における販売体制の強化に進めてきたが、米国市場での事業拡大を目的に25年に北米拠点となる合弁会社「Visnex Chemicals Corporation」を設立。 今後は国内外の各拠点が連携し、化粧品材料を中心としたASEAN(東南アジア諸国連合)・インドなどのアジア地域や北米市場における販売拡大を推進することで、海外事業のさらなる成長を狙う。

【株主還元】
配当性向40%を重要な指標の一つとし、業績に応じた配当に努め機動的な自己株式の取得を含めた株主還元の充実を図る。当期(25年11月期)の配当は1株当たり年間75円)を実施、次期(26年11月期)の配当は、業績予想に合わせて1株当たり年間80円(第2四半期40円、期末40円)を予定しており12年連続増配となる見込み。

【設備投資の概要】
事業領域における基本戦略として最先端半導体材料の開発を加速させ、周辺材料への展開により半導体事業の拡大、LCD用レジスト設計技術の非ディスプレイ用途への展開、親水性ポリマー技術の生体適合材料や新規電子材料用途への展開さらには有機圧電材料や伸縮性エラストマー材料に関する他機関やメーカーとの連携、新規市場への投入などにより重点領域を拡充。またバイオマスアクリレートの開発、川下化、非化石原料由来のアクリル酸開発、完全非化石由来材料への挑戦、LCAなどの環境データ開示による環境社会へ向けた材料開発に取り組む。

【経営理念・企業風土】
「人を敬う心」「人を愛する心」という経営理念の実現のために、たとえ生産量が少ない製品でも、丹精を込めてつくることを心がけてきた。安藤昌幸社長は「こうしたお客さまのことを敬う姿勢が評価され、今があると考えています。これからも誠実で謙虚な姿勢を大切にし、仕事を通じて従業員一人一人が成長できる環境づくりを整えることが目標です」と語る。そしてこの理念は、企業のコンプライアンスにも通じている。「ただルールを守るだけではなく、相手に思いやりの心を持って人が嫌がることをしない、嘘はつかないといった道徳的な考え方が重要だと思います」(安藤社長)また同社では30年以上続けている5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)活動を元に、全員が気持ち良く働ける職場作りを大事にしている。

【サステナビリティ、人的資本経営に関わる取組み】
カーボンニュートラルに向けた施策の実行、廃棄物の削減、資源再利用などによるサーキュラーエコノミー実現に向け持続可能な社会への貢献を目指している。 IT、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、品質向上、トラブル防止、安全性の向上や生産性の向上に取り組むとともに、労働環境や 働き方の最適化による社員の働きがいやエンゲージメントの向上、雇用の多様化に向けた仕組みづくり、環境や戦略に合わせた教育、人材育成などの人的資本経営を実行している。

※速報版は最終的な校了前の紙面記事です。今後、修正等が入る場合があります。

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