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トップ記事2026年9月15日

超割安ぞろい “新潟銘柄”に変化の胎動 「新潟県上場企業の会」会長 ハードオフコーポレーション 山本善政会長に聞く

「新潟県上場企業IRフォーラム」16日開催

今週末にかけての久々のIPOラッシュ(3日間で7社)が話題だが、ゴルフ愛好者に圧倒的な知名度を持つのが、カートナビを主軸とするテクノクラフト(622A・S)だ。18日の新規上場は新潟県本社企業としては昨夏のフラー(387A・G)以来1年2カ月ぶりとなる。新潟と言えば、7月24日には国内最大級のファッションイベント「東京ガールズコレクション」を開催するなど最近何かと注目を集めている。相場の世界においても、6月にジャパネットのTOB(株式公開買い付け)表明を受けたツインバード(6897・S)が3日間で株価倍増を演じたのは周知の通り。TOB撤回後も引き続き高水準をキープしている。「堅実で好実態ながら地味で面白みに欠ける分、万年割安状態」といった“従来の新潟銘柄イメージ”は変わりつつあるのか…。16日には、25社が参加する「新潟県上場企業IRフォーラム2026」が開催される。今年で8回目となるが、昨年の開催日から直近14日までの上昇率5割超えは5銘柄を数えた。今回も有望銘柄発掘の場として期待できそう。フォーラムの旗振り役であり、「新潟県上場企業の会」会長を務めるハードオフコーポレーション(2674・P)の山本善政会長(写真)に話を聞いた。

昨年のフォーラム開催日(9月17日)からの上昇率上位
銘柄 コード 上昇率
第四北越FG 7327 △98.5%
大光銀行 8537 △84.4%
ツインバード 6897 △53.7%
有沢製作所 5208 △52.6%
日本精機 7287 △50.1%
ハードオフコーポ 2674 △37.6%
福田組 1899 △36.1%
(14日現在)

――フォーラム来場者について、以前「推計で過去最高の3,000人近く」と聞いたが、今年はどの程度になりそうか。

「既にキャパシティがいっぱいなのでこれ以上の収容は難しく、同じ程度となるのではないか」

――基本的な内容は前回と同じということか。

「昨年との違いは大きく2つある。まず、開始時間を1時間繰り上げて『10時15分から』としたことだ。フォーラムでは、ブースでの展示のほかにも、3つの会場でIRセミナーを実施しているが、セミナー参加を希望する上場企業が増えてきたためだ。昨年は各会場で6社ずつ(1社40分)行っていたが、今年は7社ずつ、計21社がセミナーを行う」

――企業側のIRへの意識が変わってきたと考えていいのだろうか。

「変わってきていると思う。2000年3月に新潟証券取引所が廃止(東証に統合)された後、『IRの勉強会をしましょうよ』と呼び掛けた際には、『IRって何?』と真顔で言われて驚いたことがある。それから経営者の世代交代も進み、セミナーを見学して『じゃあ自社でも』というところが増えてきた。近年では、例えばAIRMAN(6364・P)のように、佐藤豪一社長自らテレビCMに出演しているところもあるほどだ。

――AIRMANは8月に2年半ぶりの上場来高値を更新し、PBRも1.5倍近くに高まってきた。新潟県上場企業と言えば、表の通り、極端な低PBR株がずらりと並んでいる。フォーラムなどを通じてIRを積極化していけば、割安状態も解消される方向に…。

「そうあってほしい。新潟には、いわゆる“チャラい企業”はほとんどない。老舗ぞろいで、どこも真面目に事業拡大に取り組んでいる。そうした状況が投資家に認知されてくればと考えている」

――昨年のフォーラム開催日にPBR0.5倍台だったツインバードもTOBで急騰となった。

「コロナ禍の時期にワクチンを輸送する大量の保冷車を一挙に作り上げるなど、もともと高い実績を築いてきた企業だ」

――それが突然のTOB。割安に放置された他の堅実な企業にとっても決してひとごとではない。

「本当にそう思う」

――冒頭で「昨年との違いは2つ」とされた。もう1つの違いは何か。

「近年は学生の参加拡大に力を入れている。県内の大学は短大含め30校もあるが、卒業後は半数以上が東京などへと出て行ってしまうのが実情だ。県内にこれほど上場企業があることも知られていない。大学横断組織の『次世代BASE』にインフルエンサーとしてフォーラム参加を呼び掛けてもらっている」

――そこまでならこれまでと同じなのでは。

「昨年は休憩室の3分の1程度のスペースにテーブルを3つ配して、上場企業トップと直接語らう場を提供していたが、何分にも面積が限られる。その点、今年は最上階のラウンジを学生向けに開放することにした。毎年終了後に懇親会を開いている会場で、100人の収容も可能だ。これを機に、県外出身者も含めた有能な地元大学の学生が新潟県上場企業に就職する機会が広がっていくことに期待している」

――新潟県本社の上場企業は何社になったか。

「プライム11社、スタンダード23社、グロース1社の35社で、東京プロマーケットを含めれば現在40社だ」

新潟県の東証上場企業
銘柄 コード 市場 事業内容 PBR
ユキグニファクトリー 1375 P キノコ生産販売 3.16倍
第一建設工業 1799 S 線路工事 0.78倍
田辺工業 1828 S プラント建設 0.92倍
植木組 1867 S 建設 0.56倍
福田組 1899 P 新潟首位ゼネコン 0.80倍
ブルボン 2208 S 食品 1.12倍
亀田製菓 2220 P 食品 0.83倍
岩塚製菓 2221 S 食品 0.45倍
ハードオフコーポ 2674 P 小売り 1.73倍
セイヒョー 2872 S アイスOEM 1.80倍
一正蒲鉾 2904 S 水産練り製品大手 0.92倍
サトウ食品 2923 S 包装米飯最大手 1・45倍
オーシャンシステム 3096 S 食品スーパー 1.24倍
北越コーポ 3865 P 製紙 0.56倍
フラー 387A G デジタルパートナー事業 1.29倍
キタック 4707 S 建設コンサル 0.51倍
有沢製作所 5208 P プリント基板 1.64倍
北越メタル 5446 S 電炉メーカー 0.23倍
コロナ 5909 S 石油ストーブ 0.35倍
ダイニチ工業 5951 S 石油ファンヒーター 0.61倍
AIRMAN 6364 P 建設用コンプレッサー 1.45倍
ツインバード 6897 S 家電 1.04倍
スプリックス 7030 S 学習塾 1.55倍
日本精機 7287 S 二輪計器世界一 0.66倍
第四北越FG 7327 P 銀行 1.22倍
トップカルチャー 7640 S 蔦屋書店展開
遠藤製作所 7841 S ゴルフクラブOEM 0.40倍
コメリ 8218 P ホームセンター 0.71倍
アクシアル 8255 P スーパー 1.23倍
大光銀行 8537 S 銀行 0.37倍
新潟交通 9017 S バス 0.37倍
リンコーコーポ 9355 S 港湾運送 0.28倍
BSNメディアHD 9408 S TBS系放送局 0.58倍
北陸ガス 9537 S 地方ガス大手 0.37倍
アークランズ 9842 P ホームセンター 0.92倍
(14日現在、★はPBR0.8倍割れ、☆は0.8倍以上1倍未満)

――ここに新たに加わるテクノクラフトには、山本さんも社外取締役として名を連ねている。

「ゴルフのカートナビのほか、健康見守りや保育ICTなどを手掛ける会社だ。創業者の栂坂昌業(とがさか・まさなり)社長は80歳で、IPO社長としてはおそらく最年長ではないか。30年以上前にITの専門学校の初代副校長兼副理事長を務めるなど進取の気性を持つ方だ。昨年上場のフラーがかつて、上場予定日前日に上場延期発表となった経緯もあって、最後まで気を抜くなとハッパをかけている」

――今後も新潟県本社企業の上場は続くか。

「2年前にMBO(経営陣が参加する買収)で市場を去ったスノーピークあたりも遠からず再上場が期待できそうだ」

――そもそも新潟県は、かつて明治期には東京府を上回って人口最多だった時期がある。表の通り、現在も全都道府県トップの項目はめじろ押しだ。新潟県上場企業も…。

「本当に素晴らしい会社がそろっている。フォーラムを機に少しでも多くの方に知ってほしい」

こんなにある!新潟県の主な「全国ナンバーワン」
項目 数値
最長河川(信濃川) 367㎞
鉱業、採石業、砂利採取業売上高 1018億円
水産練製品の出荷額 345億円
米菓の出荷額 1797億円
金属洋食器の出荷額 132億円
石油ストーブの出荷額 462億円
米の産出額 2069億円
チューリップ(切り花)産出額 9億円
高等学校等進学率 99.58%
重要有形民俗文化財指定件数 17件
神社の数(宗教法人数) 4656社
むし歯本数の少なさ(12歳児平均) 0.1本
新幹線の駅数 7駅
清酒消費数量(20歳以上平均) 8.1ℓ
原油の産出量 233623kℓ
天然ガスの産出量 13.7573億㎥
海水浴場の数 61カ所
ハクチョウ類の飛来数 2万671羽
(新潟県サイト内の資料より抜粋)

東京証券取引所 横山隆介社長 趣旨に賛同し、19年から継続して参加

日本株市場への関心が高まる中、東証では、上場企業による資本コストや株価を意識した経営の実践と、投資家との建設的な対話の促進に取り組んでいる。本フォーラムは、新潟の上場企業と個人投資家を結ぶ大変意義深い機会であり、その趣旨に賛同して2019年から継続して参加している。政府が推進する「地域未来戦略」に向けても、地域企業の成長や新たな投資の呼び込みを後押しする重要な取り組みと考えている。今後も企業価値向上と地域経済の発展を支援していきたい。