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IPO2019年9月18日

新規上場紹介 ワシントンホテル 10月18日、東証2部、名証2部 新規出店拡大、IT化進める

ワシントンホテル(4691)が10月18日、東証2部、名証2部に新規上場する。3つのブランドで全国に42のホテル(今年8月末)を展開している。

1961年に丸栄など中部財界からの出資を受けて「名古屋国際ホテル」として設立。64年に同名のホテルを名古屋市中区に開業した。69年にはビジネスマンが出張旅費の範囲内で安心・快適に宿泊できるコンセプトで「ワシントンホテル(現在のワシントンホテルプラザ)」の第1号店を名古屋市内に開業。98年には宿泊特化型の「R&Bホテル」を開業した。

「ワシントンプラザホテル」は主要駅もしくは繁華街に近い立地と老舗としての安心感が評価されている。ビジネス、観光の拠点となるように直営18ホテル(8月末)をチェーン展開している。2019年3月期におけるADR(平均客室単価)は6,570円、稼働率は72.0%。

「R&B」は首都圏を中心に全国で直営23のホテルをチェーン展開。毎朝、焼き立てパン、挽きたてのコーヒーなどを無料で提供することで付加価値の向上を目指している。宿泊台帳記入は管内の案内表示によって顧客を誘導することで対応。また、金銭授受は自動精算機を導入して対応するなど少人数オペレーションを徹底し、業務効率を上げることでリーズナブルな価格での提供が可能になっている。ADRは6,013円、稼働率は84.7%。

「名古屋国際ホテル」は歴史と伝統のある老舗ホテルとして運営してきたが、2020年9月に営業終了を予定している。

客室販売は、直販である自社サイトの「宿泊ネット」のほか、インターネットによる宿泊予約の獲得、旅行商品への客室提供などが主な経路。19年3月期ではインターネット経由の販売が71.8%(自社サイトは24.2%)を占めている。自社サイトは25万人の会員が年間延べ62万室を利用しており、これは客室販売の約4分の1にあたる。リピーター比率は61.4%と自社サイトの会員が安定顧客になっている。

出店については厳選した好立地に出店することで高収益を確保している。政令指定都市を中心に流動人口の多い都市に200~300室規模の出店を目指している。観光客・ビジネス利用客をバランスよく集客することで、季節的または一時的な業績変動を抑える方針。

新規出店は収益性の高い「R&Bホテル」が中心。41店舗(19年3月末)から5年後には51店舗、運営客室数は19年3月期の9,118室から22年3月期に1万室の達成を目指す。

レベニュー(売上高)マネジメントの精度向上に取り組む。AI(人工知能)を活用して競合価格、在庫情報、イベントなどの市場情報などをベースに毎日客室ごとに適正価格を設定できるシステムを導入するほか、チェックイン機能の自動化を見据えた自動チェックイン機の導入推進でフロント業務の効率化を図る。

また、外国人宿泊者数の比率(19年3月期)は「ワシントンホテルプラザ」が7.7%、「R&Bホテル」は3.7%と競合ホテルより低い。海外旅行博覧会へのブース出展や海外旅行会社への営業、ホームページや館内表記の多言語化、キャッシュレス決済の導入などで外国人の集客増を目指す。

なお、現在の藤田観光との関係は、ホテルの出店、運営などについて事実上の制約は特にない。藤田観光から同社への10.51%の出資関係、商標の相互使用などがあるのみ。

概要

●事業内容=ビジネスホテルの運営
●本社=名古屋市千種区内山3-23-5
●代表者=内田和男代表取締役社長
●設立=1961年5月
●上場前資本金=9,500万円
●発行済み株式数=1,190万株(上場時)
●筆頭株主=丸栄(上場前14.2%)
●公募株式数=180万株
●売出株式数=27万株(オーバーアロットメントによる売出)
●仮条件=9月27日に決定
●ブックビル期間=10月1日から7日まで
●引受証券=三菱UFJモルガン・スタンレー(主幹事)、みずほ、東海東京、岡三、SMBC日興、大和、SBI、マネックス

業績推移(連結)

売上高 経常利益 1株利益 配当
2018.3 21,417 3,009 189.49 15
2019.3 21,410 2,836 168.81 16
2020.3(予) 22,234 2,426 158.35 28
※単位100万円、1株利益、配当は円

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