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インタビュー2015年4月20日

☆イード 宮川洋代表取締役社長に聞く 5年後に売上高200億円(6倍増)目指す

M&Aでサイト拡大、PV向上の相乗効果

自動車関連やIT(情報技術)関連など専門性の高い情報サイトを複数、インターネット上で運営するイード(6038)がこのほど東証マザーズに上場。その初値は公開価格を5割近く上昇した。期待を集めてのデビューとなった。そのビジネスモデルの特徴や今後の展開について、同社・宮川洋社長に聞いた。

――ウェブ・メディア運営が主力事業のようだ。

宮川 自動車関連ニュースの『レスポンス』、IT関連情報を提供する『RBB Today』、ゲーム関連情報を幅広くカバーする『インサイド』を中心に全部で19ジャンル、34種類のメディア、コンテンツを運営している。1カ月当たりの平均閲覧数(PV)は全サイト合計で1億700万(2015年1月まで7カ月平均値)。その閲覧数の高さを背景に、顧客企業からの広告掲載料やデータ提供料などの収入を得ている。当社の事業の特徴は、その多数のサイトを「iid-CMP」という共通プラットフォーム上に置き、統括的に記事や画像を管理・配信することで効率的な運営を行っていることにある。グーグルなど大手検索サイトでの検索結果で常に上位を維持し、サイト横断的な検索機能を向上させることができるのも共通プラットフォームのメリットだ。

――『レスポンス』のPVは5500万弱。日本一の自動車情報サイトという実績だ。それにしても全部で19ジャンル・34サイトというのはかなり多い。

宮川 いや、まだまだ。将来的には、数百という規模のジャンルまで拡大が可能とみている。大型書店の書棚を思い浮かべてほしい。おそらく、千を超すジャンルの書籍が並んでいるはず。ネット上でもそうした数のメディアやコンテンツをプラットフォーム上に並べることができるだろう。取りあえず、5年後までにサイト数を100以上に増やしていきたい。そのため、今後もM&A(企業合併・買収)戦略を強化していく。現在ある34サイトのうち25サイトはM&Aによって取得したが、その多くは買収当時に赤字だった。それを「iid-CMP」という共通基盤に乗せ、SEO(検索エンジン最適化)施策の実施や記事交換機能の強化などによってPVを引き上げ、収益化することに成功してきた。その手法を武器に、目下のところ非効率・低収益なまま運営されている他社の多くのサイトを磨き上げたい。株式投資に例えれば、アンダーバリューな水準に放置されているサイトをフェアバリューまで引き上げる、そんなノウハウを蓄積しているのは当社の強みと自負している。

――一方、三越伊勢丹ホールディングスと共同でファッションサイトを運営している。

宮川 12年末に共同でファッションメディア『FASHION HEADLINE』を立ち上げた。同じように「iid-CMP」に乗せることで効率的な運営や高い集客数の確保に成功している。“スマホ時代”の到来をみて、小売企業だけでなく、これまでリアルな世界でビジネスを展開してきた企業が自分のメディアを通じ、SNS(交流サイト)などインターネットの世界にも情報発信したいと考えるようになってきた。この実績をもとに、ほかの顧客にもサイト開設を働きかけており、年内3―4サイトの新規立ち上げが可能とみている。

――5年後に100サイト。その時点での売上高はどのくらいのイメージか。

宮川 M&A戦略を中心にサイト数を増やすだけでなく、買収したサイトの運営効率の向上・早期収益化によって相乗効果が期待できるため、売上高で見れば200億円規模まで拡大することは可能ではないか、と思っている。ぜひとも、達成したい。

取材を終えて 宮川洋社長は1988年アスキーに入社し出版局に勤務。99年インターネット総合研究所に移籍。その子会社となる当社の立ち上げ(2000年4月)に参画――と、ITとメディアの2領域にかかわってきた経歴を持つ。「5年後200億円」構想は前14年6月期実績(32億円強)の6倍超という意欲的なものである。

今回の「銘柄一本勝負 筍狩りに行こう」は特別版として社長インタビューを掲載します。

[本紙4月21日付1面]

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