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インタビュー2015年4月23日

☆トップインタビュー インスペック 菅原雅史 代表取締役社長 スイス社買収で飛躍へ

半導体検査装置が拡大 医療関連機器にも参入

インスペック(6656・東マ)は半導体検査装置が主力。独自技術で開発した製品の販売が順調で、リーマン・ショック後に足踏みしていた業績は回復過程に入っている。3月にはスイスのプリント基板製造装置メーカーを連結子会社化したほか、医療関連機器分野に参入した。菅原雅史 代表取締役社長=写真=に今後の戦略などを聞いた。

――事業概要からお聞きします。

菅原 半導体パッケージ基板など電子回路基板の外観検査を自動で行う外観検査装置を手掛けている。精密基板に形成された配線が設計通りの精度になっているか検査する「パターン検査装置・AOI」、基板としての完成時に外観全般を検査する「最終外観検査装置・AVI」の2つが中核製品。画像処理技術、メカトロニクス技術、光学センシング技術という外観検査の三大要素技術すべてを社内に保有しているのが強みだ。

スマートフォン、タブレットなどの製造工場では、膨大な人数による目視検査が行われている。しかし、低賃金地域における労働コストの上昇などで、目視検査を自動化するニーズが拡大。外観検査装置への引き合いが活発になっている。

――スイス企業の株式を取得した。

菅原 「First EIE SA」(以下FEIE社)の株式の51%を取得した。FEIE社は精密プリント基板のフィルム原版を作成するフォトプロッター分野で高いブランド力を持つ。製品の完成度や品質管理に優れる上、無借金経営だが、事業承継に悩んでいた。株式取得資金は、日本政策投資銀行や東京都民銀行などが出資している「とうきょう活性化基金投資事業有限責任組合」からの4億5,000万円の融資と自己資金を充当した。

当社のASEAN(東南アジア諸国連合)での販売ネットワークを使ってFEIE社の製品を販売するほか、FEIE社の欧州の販売網に当社製品を乗せるなど新たな市場開拓につなげる。さらに、レーザー描画技術と画像処理技術を組み合わせて新製品を開発していく。例えば、レーザーで描画する過程で描画の検査を行う製品などが考えられる。

――医療関連機分野にも進出した。

菅原 バーチャルスライドシステム(デジタル顕微鏡)を手掛けるクラーロ社(本社青森県)にスポンサーとして参画した。当社が販売していく。デジタル顕微鏡は、病理検査などに使用する顕微鏡画像をコンピューターに取り込み、デジタルデータ化して複数の病理専門医による診断や遠隔地での診断を可能にするもの。がんの病理診断に貢献できる。主要な国立大学病院には既に納入、今後は幅広く普及を進める。

――足元の業績はどうですか。

菅原 外観検査装置の受注は堅調。基板メーカーが顧客だが、国内では新規の案件も増えている。2015年4月期は、売上高17億円(前期比70%増)、営業利益1億円(同85%増)の見通し。来期からはFEIE社が寄与してくる。昨年6月に策定した中期経営計画では、16年4月期に売上高22億円、営業利益2億6,000万円を目標にしている。

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