配当性向「3年間100%」 M&Aに100億円投資
妹尾勲取締役社長執行役員に聞く
――「配当性向100%目標」の背景からお聞きしたい。
妹尾 当社には既に十分な内部留保があり、M&Aに積極投資を行っても内部留保は充実している。今後は積極的に株主還元を行っていきたい。ROE(自己資本利益率)を意識した経営を行っており、3年間で10%超(15年2月期は6・1%)に高めたい。
WEB、海外事業を強化
――中期計画の概要は。妹尾 既存のテレビ通販関連事業の売上高(15年2月期は約250億円)を3年後に370億円に、同様にダイレクトメール発送事業(同約76億円)を100億円に増やす。そして、新規事業の売上高として海外事業55億円、WEB事業30億円を計画する。売上高の合計は555億円、営業利益(EBITDA)は24億円というのが数値目標だ。新規事業のためにM&Aに100億円を投資する。
――具体的な施策は。
妹尾 通販の市場はインターネット通販およびモバイル通販がけん引して約8兆7,000億円。このうちテレビ通販の市場は約5,000億円と伸び悩んでいる。しかし、消費者には「テレビで商品を見てWEBで購入する」というケースが増えている。テレビで商品の情報を入手してそれが購買につながってもテレビの貢献度は統計上の数字には表れない。にもかかわらず、企業がWEBに広告の重点を置くのはどうか、ということになる。そこで、当社ではテレビを見てWEBでの購入に至る貢献度(オフラインアトリビューション)を統計的な方法を用いて可視化し、企業のマーケティング予算のうち、テレビ向けとWEB向けの配分を最適化させるサービスを昨年から提供している。
テレビ通販の商品は健康食品・医薬品が最も多く、これにアパレル、ビューティー、家電製品・パソコンなどが続く。今後は新業種・新領域のクライアントを積極的に開拓していく。スポーツジムは既に実績があるが、例えばゲーム、自動車、学習塾、不動産などがターゲットになる。テレビ通販の市場を当社が先頭に立って大きくしていきたい。
――新規事業について聞きたい。
妹尾 WEB事業については当社の強み(テレビ)を活かした連携を図る。テレビとWEB受注を最大化できる連動広告商品を提供する。テレビのクリエイティブ制作、そのノウハウを活用して、パソコンやスマートフォンへの動画広告配信を行う。WEB事業についてのM&A投資はWEBにおけるダイレクトマーケティングを行うためのサービス全般が対象になる。例えば、WEB広告(販売、広告ネットワーク)、CV(WEBサイトの成果/実績)促進ツール、EC(電子商取引)サービスなどの企業。いずれはアドネットワークや動画配信サイトも検討したい。
海外事業については、12年にベトナムでダイレクトマーケティング支援事業を開始したのを皮切りにタイ、シンガポール、マレーシア、台湾で展開している。昨年11月には楽天マレーシアと連携して現地企業のテレビ通販支援を開始。今年3月にはタイ最大手のテレビ通販事業者と業務提携した。これまではこうした現地企業との提携段階だったが、今後は出資し、買収などでマジョリティーを握り、現地でのBtoCビジネスを本格的に開始する。
――16年2月期の業績見通しは。
妹尾 15年2月期は前の期に比べて約10%の減収ながら12%の営業増益となった。「大量一括仕入れ」というメディア枠の見直しと需要に応じた柔軟な仕入れを進めた結果、売上総利益率が回復した。16年2月期は売上高348億円強(前期比8%増)、営業利益7億7200万円(同16%減)の見通し。WEB事業、海外事業への投資で減益になる。
会社紹介
トライステージ テレビ通販業者などダイレクトマーケティングを行う企業に対して、テレビ番組放送枠をはじめ各種メディア枠の提供から、販売戦略プランニング、番組制作、コールセンター運営・物流まで総合的な支援サービスを行っている。2008年8月に東証マザーズに上場した。株主優待は毎年2月末、8月末に100株以上保有の株主にクオカードを贈呈している(100株以上500株未満は1,000円相当、500株以上は5,000円相当)。
トライステージ テレビ通販業者などダイレクトマーケティングを行う企業に対して、テレビ番組放送枠をはじめ各種メディア枠の提供から、販売戦略プランニング、番組制作、コールセンター運営・物流まで総合的な支援サービスを行っている。2008年8月に東証マザーズに上場した。株主優待は毎年2月末、8月末に100株以上保有の株主にクオカードを贈呈している(100株以上500株未満は1,000円相当、500株以上は5,000円相当)。
[本紙4月27日付1面]