代行返上は継続的に発生
毎週の投資主体別売買動向で、「信託銀行」の動きが注目を集めている。5月28日に発表された5月第3週(18-22日)では、新年度入り以降、これで8週連続の売り越し。3月以降の計12週でも、買い越したのは1週しかない。昨年、差し引き2兆7,848億円を買い越した「最大の買い方セクター」は、一体どうしてしまったのか…。| 現物市場 | 先物市場 | 「現先合算」 | |
|---|---|---|---|
| 3月第1週 | -33 | -261 | -294 |
| 3月第2週 | -354 | -127 | -481 |
| 3月第3週 | -1,346 | -440 | -1,786 |
| 3月第4週 | +508 | +2,488 | +2,996 |
| 4月第1週 | -1,193 | +207 | -986 |
| 4月第2週 | -1,378 | +695 | -683 |
| 4月第3週 | -598 | -642 | -1,240 |
| 4月第4週 | -986 | +420 | -566 |
| 4月第5週 | -149 | -200 | -349 |
| 5月第1週 | -110 | +63 | -47 |
| 5月第2週 | -274 | +71 | -203 |
| 5月第3週 | -635 | +748 | +113 |
| ※単位:億円 | |||
「信託銀行」としてカウントされる投資主体としては、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や、(GPIFとの運用一元化の決まっている)3つの共済年金なども含めた年金マネーであり、信託経由での一部自社株買い、また公的資金として、かんぽ生命や、ゆうちょ銀行なども挙げられる。
なお、勘違いされがちだが、日銀のETF(上場投信)買い入れ業務は三井住友信託銀行が受託(2月2日付日銀リリース)したものの、実際の現物株購入、拠出は証券会社が担うため、「信託銀行」の売買にはカウントされない。
さて、もともと信託銀行の売買には季節性が指摘されており、2011年と12年には「3週連続」、13年と昨年も「4週連続」で、4月の新年度入りから売り越しが続いた経緯がある。とはいえ、「8週連続」となると季節性だけでは説明しづらい(表①のように、現物と先物の合算金額で見れば、「8週ぶり買い越し」に転じるが…)。
昨年の官製相場の主役となったGPIFは、基本ポートフォリオの規定する資産構成割合で、既に「国内株式25%」に到達し、買い余力をなくしてしまったのだろうか。そうだとすれば、依然、「公的資金頼み」の気分を残す今の市場にとっては、やはり気掛かりなところではある。
| 銘柄 | コード | 感応度 |
|---|---|---|
| 九電工 | 1959 | 0.41% |
| 三井金属 | 5706 | 0.40% |
| ニチハ | 7943 | 0.36% |
| 三井造船 | 7003 | 0.32% |
| 新明和工業 | 7224 | 0.32% |
| ミツバ | 7280 | 0.32% |
| 日機装 | 6376 | 0.31% |
| 鹿島 | 1812 | 0.29% |
| ロート製薬 | 4527 | 0.28% |
| ツクイ | 2398 | 0.27% |
| 双日 | 2768 | 0.26% |
| 三菱ガス化学 | 4182 | 0.26% |
| 三協立山 | 5932 | 0.25% |
| 参天製薬 | 4536 | 0.25% |
| 住友金属鉱山 | 5713 | 0.24% |
| スタンレー電気 | 6923 | 0.24% |
| マツダ | 7261 | 0.23% |
| 日本新薬 | 4516 | 0.23% |
| 東レ | 3402 | 0.22% |
| 小糸製作所 | 7276 | 0.22% |
ただし、厚生年金基金解散や代行返上などによる売り物自体は、今後も一定量が出るというのが熊澤氏の見方。幅広い銘柄に入るGPIFなどの買いとは別に、信託銀行の売買動向に対する株価感応度が高く、年金信託がある程度保有する銘柄については、企業年金によるリバランスの売りが上値を抑える可能性があるとしている。
熊澤氏が22日付レポートでスクリーニングしたうちの上位20銘柄は表②の通りだ。「例えば、年金などの新規買いが入りやすい、『MSCI最小分散』指数の新規採用、ウエート増加銘柄を買う一方で、表のような銘柄を売り建てるロングショート戦略なども想定される」(熊澤氏)とか。同指数の新規採用は三菱マ、三菱自、西武、テルモ、日立金。ウエート増ならブリヂストン、大正薬、三井物、伊藤忠、リクルートなどとなる。(A)
[本紙6月1日付1面]
