北陸で「投資デビュー応援キャンペーン!」開催

――NISAの口座は着実に増えています。
稲野 主要証券会社10社の4月末のNISA口座利用状況を見ると、総口座数は435万と1カ月前(429万)から増加。稼働口座の比率は50・5%と初めて半分を超えた。制度開始から1年余が経過して認知度が高まっている上、株価上昇を背景に実際に買い付けに動く投資家が増えているようだ。金融庁による銀行を含めたオールNISAの口座数は昨年末で825万。このうち投資未経験者の口座開設は約194万口座と全体の約24%を占めている。年代別の口座数では60歳代の割合が高いものの、月を追って50歳代以下の比率が上昇しているのは心強い。
――ジュニアNISAが来年から導入されます。
稲野 子どもの将来に向けた資産運用のための制度で、今のNISAがカバーできない0-19歳の未成年者が口座開設できる。日本では近年、教育費用が大きくなっている。奨学金制度はあるものの、先に貯めて後で使う制度は不足しており、高等教育に向けての資産形成の有効な手段と言える。親・祖父母世代が子ども・孫の名義で口座を開設して贈与の形で資産を運用していくなどすれば世代間の資産移転が図れる制度だ。日本証券業協会では、主に家族単位での資産形成について理解を深めてもらうよう取り組んでいく。
――投資の普及・啓発活動については。
稲野 セミナー開催や講師派遣など日々、草の根的な活動を行っている。毎年10月の「投資の日」イベントは大きな盛り上がり見せている。投資に当たって100万円などまとまった金額が必要という先入感を持たれている方には、投資は少額でも始めることができ、時間をかけてじっくり資産を形成していくものということをアピールしていきたい。国民各層の金融リテラシー(金融に関する知識や情報を正しく理解し、主体的に判断する能力)の向上を図るため、小学校・中学校の土曜学習や土曜授業に講師を派遣し、金融・経済の仕組みを楽しく学べる参加・体験型の学習プログラムを提供している。また、文部科学省は留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」を展開している。2020年までに大学生、高校生の海外留学倍増を目指すもので官民協働で取り組んでおり、これにも協賛している。
――北陸でのイベントは昨年に続く2回目となります。
稲野 私自身、1993年から2年間、野村証券の富山支店長として赴任したなじみのある土地だ。投資家のすそ野拡大という大きなテーマに向かって、証券各社がリレーションを持って取り組むことには大きな意義がある。こうした動きが全国に広がっていくことを期待している。
[本紙6月8日付1面]