上京するまで、ほぼ毎日お世話になっていた西鉄電車(西日本鉄道、9031)。帰省時に見かけるたび青春時代を思い出し甘酸っぱい気持ちになります。そんな愛着ある西鉄電車が、レストラン列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」の運行を3月23日より開始するという何とも心ときめく発表を目にしました。

移動時間を楽しく演出してくれる「観光列車」。九州では2013年からJR九州の豪華寝台列車「ななつ星in 九州」が運行されていますが、国内外から予約が殺到し、昨年10月～今月出発分の予約倍率は9.4倍と、今なお高い人気を集めています。ほかにもJR東日本(9020)、東急電鉄(9005)などさまざまな鉄道会社が参入している観光列車が、いよいよ西鉄電車でも本格的に運行されるとあり、地元民としては期待を禁じえません。

先日お披露目された車両は、本格的な窯を中心としたキッチン車両と、ダイニング車両からなる52席3両編成。天井に八女の竹を使用した竹編み、壁面にはいぶし銀が美しい城島瓦、家具は大川家具など、沿線の文化や暮らしが感じられる車内で、産地や旬にこだわった地元のオリジナル料理をランチやディナーとしてゆっくりと楽しむことができるそう。早速地元の友人が、両親を招待したいと予約しようとしたところ、ランチは既に満席、何とか5月の末のディナーが予約できたそうです。

福岡駅から大牟田駅まで西鉄大牟田線全駅走行という今回のレストラン列車の運行をきっかけに、これまで観光の中心だった博多、天神だけでなく、車窓にうつる西鉄沿線の魅力を知ってもらい、新たな観光、ヒトの流れを生むことは出来るのか。「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」を起点とした今後の展開に注目しています。

【編集記者のコメント】
今回のレストラン列車は、西日本鉄道が重点戦略に掲げる「地域マーケットビジネスの深化」の主要プロジェクトのひとつです。これまでに、福岡市や北九州市のバス高速輸送システムの増便、27年ぶりとなる太宰府駅のリニューアルなどを実施。現在は久留米市で九州最大となるシニアマンションの建設や、天神エリアの再開発などを進めています。今3月期は2.13%営業減益の見通しですが、インバウンド(訪日外国人)需要の取り込みや国際物流事業の拡大による今後の収益回復に期待です。


[本紙2月18日付14面]