TOP  NSJアップデート  IPO  IPO社長会見 コージンバイオ アジアを足掛かりに、グローバル産業用市場へ
IPO2024年5月2日

IPO社長会見 コージンバイオ アジアを足掛かりに、グローバル産業用市場へ

コージンバイオ(177A)が4月25日、東証グロースに新規上場した。同社は細胞用培地・微生物検査用培地の販売と、自社培地を用いた再生医療受託を展開。初値は公開価格を6.8%上回る2,030円だった。上場当日の記者会見で中村孝人代表取締役社長=写真=が語った内容のポイントは次の通り。

培地で医療と健康に貢献……微生物用の培地と細胞培養用の培地、どちらも同じ「培地」だが、中身と使用する場所、お客さまは全く別だ。例えば微生物用は、かつてO157(食中毒)が社会問題化した際に菌の有無を調べるために用いられたもので、この時に大腸菌の中からO157だけを色で識別できるよう一気に進化が進んだ。細胞培養用は米サーモフィッシャーの傘下であるGibcoという会社が最大手。こうした欧米の企業が世界を席巻し、日本の研究者たちもそれを使って研究をしていたという時代がずいぶん続いてきた。そうした中で、東北大学の教授から「日本製をつくろうじゃないか」と声をかけていただき、その先生の部屋にいた研究者2名を会社に派遣してもらって日本初の細胞培養用の培地を作った。

巨大市場、「粉末培地」を狙う……長い間研究用という市場の中にとどまっていたマーケットだったが、ips細胞が世の中に出たことをきっかけに再生医療の取り組みが活発化し始めた。そこで使われているのが、われわれも主力としてやっている液体の組織培養用の培地である。さらに昨今はバイオ医薬品、つまり産業用の培地のマーケットがものすごいスピードで開いている。バイオ医薬品を作るのにも培地が必要だが、産業用の規模になると液体培地を使ってでは供給が追い付かない。そこで粉末を溶かして使うパウダー培地が出てきた。日本では味の素などが手掛けている。

巻き返しは十分可能……われわれは上海に組織培養用の培地をつくる工場を持っている。ここでは組成漏えいを防ぐため、日本から原料培地を送り現地で溶かして売るという流れで今日まで進めてきた。大手に遅れはとったものの、追いつき通り越せるだけのノウハウは蓄積してきている。ただし、現在私どもが作れるのは1ロット、1回に作る量が30キログラム程度。これで十分間に合っていたが、産業用の培地のマーケットに入っていくとなると、500キログラム~1トンはつくれないと相手にされない。われわれはこれをやる。

「バイオ」と「ジェネリック」を追う……とは言え、産業用の培地は売るのがとても難しい。なぜなら医薬品は臨床試験を経ている。培地は各試験段階で使われるので、私たちが後からモノはいいです、安く使ってくださいと言っても、試験で使われたものを変えることはできない。ではなぜ粉末培地をこれからやるのか。日本のアカデミア(学界や学術研究機関)や企業さまで、バイオ医薬品を含む免疫細胞治療医薬品などをこれからつくっていきたいという会社がたくさんいる。われわれはそこに手を差し伸べていく。また、韓国やインドではジェネリック医薬品が急速に伸びている。ジェネリック医薬品は先発医薬品のような治験を行わないため、われわれのような後出しじゃんけんでも、品質が良くて安価で提供できるといったら買ってくれる。

競合と戦う力は十分……日本にはタカラバイオという素晴らしい先発企業がいるが、そうしたところと価格競争をしながらわれわれも採用されることを目指していきたい。最初から大きな仕事は取れないから一つ一つ取っていくということを今までやってきたし、これからもやっていこうと思っている。そうした中で十分に戦える経験と知力、人材がある。培地は儲かるので、これから培地を作る会社がどんどん出てくるのではないか。Gibcoがサーモフィッシャーに買収された時の金額は2兆5,000億円、日本でも富士フイルムが培地に関係する企業を買収して大きくなっており、今は培地ができそうな会社をM&Aで手に入れることに目が向いているように思える。われわれはより一層企業努力をしなくてはならない。

再生細胞治療で膝軟骨提供へ……細胞培養培地の事業を広げるため、細胞加工業にも取り組んでいる。現在はインバウンドによる医療ツーリズムで幹細胞需要が広まっている。こうした中で、われわれは膝軟骨という部位を製造し、それを医療機関に提供するということもスタートした。今までの細胞加工治療は基本的にはクリニックで受けるもので、外国から来た人の採血をし、私どもが2~4週間で細胞を培養してクリニックにお返しし、また来日してもらって治療するという流れだった。今度の膝軟骨は2週間近い入院が必要で、大学病院や総合病院がお客さまとなる。

成長投資……調達資金で坂戸市にあるわれわれの本社敷地内に材料などを保管する5階建ての倉庫棟をつくる。来年の5月に完成予定。倉庫棟と言っているが、従業員も増えてきたので、そこには憩いの場としての食堂や休憩スペース、ロッカールームを充実させるなど、従業員にリラックスしてもらうためのスペースをつくる。また、基幹システムも更新する。顧客からの発注オーダーを取り込みながら発注業務が行われ、製造指示も出していくといった、当たり前のことができていない部分があった。製販一体化を合わせた財務一体型のシステムにようやく変えることができ、企業内収益の向上に相当な力を発揮すると思われる。(SS)

関連記事