プライム・ストラテジー(5250)が2月22日、スタンダードに新規上場した。「KUSANAGI Stack」というウェブシステムの高速化、自動化ソリューションを開発、提供している。初値は上場2日目に公開価格の2.2倍の3,130円を付けた。上場当日の記者会見で、中村けん牛代表取締役=写真=が語った内容のポイントは次の通り。
ウェブシステム全てを高速化……中心となるプロダクトは「KUSANAGI」でワードプレスなどCMS(コンテンツ管理システム)やウェブシステムを高速かつ安全に動作させるためのリナックスベースのオペレーティングシステム。このほかウェブ表示高速化エンジンの「WEXAL」(ウェクサル)、高速化戦略を立案するAIの「David」を開発し、併せて「KUSANAGI Stack」と呼んでいる。「KUSANAGI」はウェブシステムの動作プロセスの前半部分を担当、「WEXAL」「David」は後半部分を担当し、合わせて利用することで、ウェブシステム全てのプロセスを高速化することができる。
世界6大クラウドで採用……国内外の主要な28のプラットフォーム、34カ国251地域で利用可能。特に世界6大クラウドと呼ばれるMicrosft Azure、Amazon Web Services、グーグルクラウドプラットフォーム、IBMクラウド、オラクルクラウド、アリババクラウド全てに採用されているのも特徴の一つ。累計稼働台数は6.5万台を超える。また、「KUSANAGI Stack」由来の知的財産権を国内大手ホスティング事業者にライセンス提供しており、引き続きグローバルな高速化ソリューションのデファクトスタンダードを目指して開発を進めていく。
主力はマネージドサービス……提供しているサービスは「KUSANAGIマネージドサービス」「ライセンス」「クラウドインテグレーション」の3つ。マネージドサービスが主力で売り上げの約70%を占めるサブスク形式のストック型ビジネスモデル。「KUSANAGI」を利用する顧客のウェブシステムをクラウド上で保守・運用するもの。パフォーマンス、セキュリティーなどの付加価値をつけて法人顧客に提供している。付加価値の部分が当社の優位性になっている。中でも顧客の複数のシステムを一括で契約して、統合管理する「CMSプラットフォーム統合サービス」が足元の成長エンジン。
ライセンス利用が増加傾向……「クラウドインテグレーション」は従来の主力。「マネージドサービス」導入時のシステム移行や保守運用開始後の顧客システムの追加開発など。売上高の約15%で、プロジェクトタイプのフロービジネス。ライセンスの売上高比率は15%でサブスクリプション形式のストック型ビジネスモデル。当社保有のブランド、特許などの知的財産権をホスティング事業者のサービスで利用していただくもので、近年増加傾向。
知的資本が強み……当社の優位性は「KUSANAGI Stack」のプロダクトを創造できるOSからAIまでの開発体制、ハイパーオートメーション技術を実現できる優秀な開発陣、知的財産権などに代表される知的資本にある。その結果、高い利益率、高付加価値のストックビジネスを実現し、利益成長の原動力となっている。今後、まず知的資本の形成に引き続き注力する。また、ライセンス展開はその性質上場所や言語を問わない。「WEXAL」「David」は国際特許出願中で、早ければ8月にも日米で成立する見込み。特許成立を契機にグローバルでライセンス展開を進めたい。
利益成長しながらガバナンス確保……安定した利益成長、ガバナンス体制を確保しながらもさらなる知的資本の形成を通じ、非連続的な成長を実現させ、スタンダード市場の新潮流をつくっていきたい。利益成長しながらガバナンス体制を確保することは、スタンダード市場に一般的に言われる話だと思う。当社は、知的資本を形成してそこからなし崩し的に収益を実現させていくという考え方の会社だったので、プライム市場、グロース市場と比べると、そういった多様性を受け入れて、自分たちの個性を発揮しやすい市場ということでスタンダード市場を最終的に選んだ。過程としてはマザーズやグロースも検討したが、最終的にはスタンダードを選んだ。(HS)