レント(372A)が6月30日、東証スタンダートに新規上場した。初値は公開価格32.3%上回る5,730円。産業機械、建設機器および産業車両のレンタル事業を展開。上場当日の記者会見で岡田朗代表取締役 社長執行役員(=写真=)が語った内容のポイントは次の通り。
限りある資源を有効活用……約6,000種・50万台のレンタル商品を保有しており、高所作業機や土木道路機械などの建設業向けをはじめ、楊重・荷役機械、コンプレッサー、発電機といった工場などで使える商品にも幅を広げてきている。年間取引社数は3万3,000社ほど。事業は日本のほか、タイ、ベトナム、インドネシアで展開。国内は都市圏や工場地帯を主体としたネットワークを構築しており、機械を保管するヤード、様々な整備を行う工場などを併設した営業所・出張所を72カ所、また、機械の修理や品質を管理する機能を持った整備拠点を18カ所設けている。
国内市場の第三極に……国内のレンタル業界は新規参入があまりない。再編を進める大手5社と、それぞれの地域や特定の顧客に強く結びついた事業者と二極化しており、今後さらにその傾向は強まっていくだろう。私どもは大手5社に続く6番目にあって2%のシェアという立ち位置。ある意味大手でもないし地域密着型でもない。当社としては大手5社とは一線を画して、それぞれの地域や特定の顧客に強い会社と連携する中で、第三極を築けないかと考えている。
アライアンス戦略……現在は九州、北海道、中京の3社とアライアンスを組んでおり、ここでは人材交流やお互いの商品・ノウハウを共有している。当社の場合、産業機械やバリュープラス(レンタルに付随するサービス)があるので、これらを積極的にアライアンス先に提供して活用していただくことでワイドに展開できるほか、先方のレンタル会社にとっても成長する上でのひとつの手段になる。大手がM&Aという手法で規模の拡大を進めるのに対し、私どもは連携によってそれぞれの強みをお互いに生かした強い集団を形成することが、今後業界の中でプレゼンスを高めていく1つの有効な戦略になると考えている。この4~5年でアライアンス先を7社、8社に増やし、市場の1割のシェアは取りたい。
成長余地大きいアジア3カ国……タイ、インドネシア、ベトナム3カ国合わせた市場規模は約1,000億円だが、日本のGDPとレンタル市場との割合などを加味すると、今後中長期的には10倍ぐらいの規模になっていくだろう。タイは設立から15年ほど経過しており、現在は事業所も7拠点まで拡大。シェアは約15%と、ある意味タイを代表するレンタル会社となってきている。一方、ベトナム、インドネシアについてはこの2~3年の中の動きであり、まだそれぞれ2拠点という状況。事業基盤を確立している最中だが、先行しているタイと同様、いずれ各国を代表するレンタル会社となることを目指す。
グループで経営資源を共有……海外は3カ国のポテンシャリティを狙って事業規模を拡大していくことに加えて、レンタル資産と人材をもっと有効活用したい。特に日本においては人材が不足している。私どもの社員の3割は整備だが、やはりこうした人材は不足している。もっと間口を広げて人を入れて、海外の会社で訓練をした人間を日本側に送ってくるという形で日本側の人材不足の課題に対応できる。また、日本側で持っている資産も今までは単純に業者に売却して終わっていたが、これを海外の事業会社で活用していく。
稼働率と単価の向上……レンタル商品の稼働率はおよそ50%前後。低く見えるかもしれないが、例えば産業車両、トラック、重機・ショベルやフォークリフトといった大型の建設機械については、繁閑期の差もあるが、ピーク時は80%以上と非常に高い稼働率で推移している。産業向けの小型機械については、大量に出して大量に返ってくるという特性があるものなので、30~40%ぐらいでオペレーションを行っている。これは他社と比べてもむしろ高い。一方、稼働率を上げるほどレンタル収入も増えるが、その分物流コストも増えるという課題があった。これについては専門の部隊をつくり、ある程度地域を限定しつつ、ブロック別で稼働率を高めながら物流コストなどもにらんで最適化を図るといった取り組みをこの2年ほどで進めている。また、この機械レンタル業界は過去なかなかレンタル料が上がってこなかった歴史があるが、コロナ禍が明けて経済活動が活発になると同時に、ようやく価格を上げる動きが出てきた。私どもも一昨年あたりからそういった活動を続けてきており、今までずっと下げ止まらなかったものが下げ止まったところまでは来た。現在はそれをもう少し上げていく、一部でもお客さまに転嫁させていただくというようなところの段階に来ている。(SS)